この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
自分であるために~涙の雨と晴天の虹~
第1章 生きにくい世界で出逢った人
連れられたのは、都会の大きなコスメストアだった。
たくさんの定番コスメや最新コスメ、美容グッズ、スキンケア用品、美容系の本やコスメ雑誌……一部、デパコスなどなどの商品がところ狭しと並んでいる。女の子なら憧れるのだろうか?
普通の女の子として、生活したこともないし、メイク用品を買ったこともメイクをしたことも今までない。そんな恵まれた環境にいない。いや、今の里親に拾われたのには充分、恵まれているが、わがままを言って、また捨てられたら……その恐怖は心の片隅にずっと残る。だから欲しいものを聞かれても、時計だの参考書だの文具だの……欲しくないけど、無難なもの……ばかりを答えてしまっていた。
京さんは、ショッピングスペースではなく、隣のメイクブースへと入って行った。3台ほどの鏡台と椅子が並べられていて、先ほどショッピングスペースで見たコスメのテスターや使い捨てのパフやアイチップなどがたくさん置かれていた。
椅子に座らされ、京さんは私の顔にメイクする。