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空の記憶~あなたと私と彼、それから~
第8章 第三話【波の音】 予感 
「どうしたのです」
 問うと、御者が困惑したような顔で振り向いた。
「申し訳ございません、奥さま。どうやら、道端の石に車輪が乗り上げてしまったようでございます」
「それは困りましたね」
 幸が顔を曇らせると、壮年の御者は心底済まなさそうに謝った。
「私の不注意でございます。もう少し早くに気づけばよろしかったのですが」
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