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空の記憶~あなたと私と彼、それから~
第8章 第三話【波の音】 予感 
 その時、御者の方に近寄ってきた人影があった。中にいる幸からはその人物の姿は見えないが、御者と何か話しているようだ。
 やがて、立ち往生していた馬車が再び大きく揺れ、わずかに傾いていた馬車が元どおりに戻った。また何事かと幸が訝しんだ時、御者が幸に言ってきた。
「奥さま。通りすがりのご親切な方が助けて下さいました」
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