この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
空の記憶~あなたと私と彼、それから~
第9章 第三話【波の音】 絶望の果て
打ち寄せる波の音がいっそう間近になった。幸は泣きながら浜辺に立った。ひんやりとした海水が素足を洗う。
―もう浩三さんに逢えない。
深い絶望感が幸を支配していた。一体、どんな顔をして、良人に逢えるというのだろうか。自分は最悪の形で最愛の良人を裏切ってしまったのだ。最早、我が身は浩三の妻でいる資格のない女なのだと幸は思った。
今夜、浩三の妻の幸は死んだ。心が死んだのならば、本当にこの現身(うつしみ)も葬ってしまうまで。
―もう浩三さんに逢えない。
深い絶望感が幸を支配していた。一体、どんな顔をして、良人に逢えるというのだろうか。自分は最悪の形で最愛の良人を裏切ってしまったのだ。最早、我が身は浩三の妻でいる資格のない女なのだと幸は思った。
今夜、浩三の妻の幸は死んだ。心が死んだのならば、本当にこの現身(うつしみ)も葬ってしまうまで。