この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
空の記憶~あなたと私と彼、それから~
第2章 第一話【空の記憶】~運命の嵐~
~運命の嵐~
海が唸りを上げて、幾重にも連なる白い波頭(なみがしら)が大きな船体を洗う。その度に船は左右に大きく傾(かし)ぐ。向こうからひときわ高い波が押し寄せれば、一瞬、船ごと呑み込まれてしまうのではないかと思うほどだ。
海が荒れている。ここら辺りの海は滅多なことで荒れ狂うことはないと聞いていたのだが、話とは全く違う。幸(ゆき)は出立間際の母とのやりとりをぼんやりと思い出していた。船がいよいよ港を出ようというその瞬間になっても、母は泣いていた。
海が唸りを上げて、幾重にも連なる白い波頭(なみがしら)が大きな船体を洗う。その度に船は左右に大きく傾(かし)ぐ。向こうからひときわ高い波が押し寄せれば、一瞬、船ごと呑み込まれてしまうのではないかと思うほどだ。
海が荒れている。ここら辺りの海は滅多なことで荒れ狂うことはないと聞いていたのだが、話とは全く違う。幸(ゆき)は出立間際の母とのやりとりをぼんやりと思い出していた。船がいよいよ港を出ようというその瞬間になっても、母は泣いていた。