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空の記憶~あなたと私と彼、それから~
第2章 第一話【空の記憶】~運命の嵐~ 
―身体に気をつけるのですよ。北の都市(まち)の冬は殊に厳しいのですから、風邪など引かないよう十分気をつけるようにしなさい。たまには手紙を―。
 言葉の途中で、船は港を離れた。刹那、母は少し恨めしげに船を見上げ、小柄な身体を更に伸び上がるようにして、力一杯手を振った。既に船は港からかなり離れたところにあるというのに、自分の声が幸に届くものだと信じ込んでいる様子で何か叫んでいた。
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