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空の記憶~あなたと私と彼、それから~
第20章 番外編第三話【秘恋~背徳の恋~】 濁世の花
「私の家は貧しく、私は十五で家を飛び出して京の都に上り高名な絵師の弟子になりました。私のような何のつてもない子どものことです、最初は門前払いばかりを繰り返しましたが、何度目かに師匠自ら出てきて、ついに弟子入りを許されました。つらい内弟子修業にも耐え、何とか絵らしいものを描くことができるようになった頃、師匠が突然亡くなりました。後を継いだ子息は師匠の才能の十分の一もなく、弟子たちの間は勢力争いで揉めに揉め出し、私はそんな諍い続きがいやで、京を出てきました。今から三年前のことです」