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狂愛の巣窟
第1章 【入り乱れた関係に…】
自宅の駐車場にて乗り込む車は白のヤリスクロス。
赤のワンピースを着て朝からサングラスで運転する。
信号待ちになれば隣に停車した車から覗かれるのは日常茶飯事で慣れています。
ナンパは好きではありません。
だから最初から相手にはしません。
向かう先は予約していたサロンです。
髪を整えた後は全身コースのエステでリフトアップしてもらう。
美の追求は怠りません。
だからこうしてすれ違う世の男性の視線を奪ってしまうのかも知れませんね。
「お待たせ」とカフェで待ち合わせた人は以前から担当してくれている歯科医師の先生だ。
今日はクリニックが午後から休みで会いたいと言われ車でしか行けない山沿いのカフェで落ち合う事にしていた。
お洒落なテラス席で悠々と佇んでいる姿は目を引くほどイケメンさが際立っている。
何も私にしなくても若い子は周りにいくらでも居るだろうに。
受付の子、絶対あなたに気があるわよって教えてあげようかしら。
まぁ、言わなくてもわかってるだろうけど。
「良かった、来てくれた」
「ええ、約束しましたから」
店員さんに「同じものを」と注文するやいなやテーブルの上で指を絡めてくる。
熱い視線。
もうスイッチが入っている様子。
「その服、とても似合っています……髪型も」
軽く巻いた髪を褒めてもらい素直にお礼を言った。
薬指をピンポイントで触ってくるのは彼の癖です。
私は結婚しても「失くすと嫌だから」との理由で指輪はしていません。
寝室に保管しています。
本当はこうして他の誰かと逢瀬を重ねる為…ですが。
「今日は4時には帰らないと」
人妻ですから、当然の事です。
それに耐えれなければこの関係は解消です。
予め伝えているルールなのです。
アメリカンコーヒーを一口飲んで絡めていた手がしっかり繋がった。
会計を済ませ、何食わぬ顔で各々の車に乗り込み決まった場所へ走らせる。
15分ほど走れば彼が所有している別荘へと到着した。
好きな時間に来て好きな時間に帰るよう、車は必須でした。
敷地内に入ればもう外からは見えません。
車から降りた私の手を引いて部屋に入れば強引に。