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探偵紳士ウィリアムの調教
第1章 プロローグ 医師作家と探偵紳士 1
医師としての仕事は、時に御者に鞭打たれる馬車馬のように忙しい。その夜も、僕が巡回治療を終えたのは、真夜中だった。
「もうこんな時間か」
僕はガス灯の下に立ち、明かりに照らされた懐中時計を目にしながら呟いた。 
夜のロンドンをひとり歩くのは、たとえ男でも物騒だ。何時強盗やスリに遭うかわからない。
幸い、僕は護身用の回転拳銃を持っている。
僕はスーツに忍ばせた銃を意識しながら、ガス灯の明かりだけが照らし出す通りの曲がり角を曲がろうとした、その時。
「よお、オッサン。良い夜だな?」  
ひとりの男が、僕を背後から羽交い締めにした。
「なっ、強盗か?」
僕は男がいきなり襲いかかって来たことに、思わず声を上げた。両腕を拘束された状態では、銃に手を伸ばすことすら出来ない。
くっ、僕は悔しげに唸ると男に襲われた瞬間、どさっと地面に落ちた医療鞄へと目をやった。
「金ならその鞄の中にある。好きなだけ」
「残念ながら、俺が欲しいのは金じゃない」
男は、僕の腕から手を離すと、僕の体を抱きしめるように手を回して、思わぬことを口にした。
「俺が欲しいのは、あんたの体だよ。オッサン、身なりの良い紳士ほど─犯して楽しいものはないからな」
そう言って男は、僕の体をまさぐる。僕はぞくりと体を震わせた。
「何だと?君は・・・男色趣味か!」
何てことだ、僕は男色の強姦魔に目をつけられてしまったようだ。
「何を固くなってるんだよ、え?」
僕は耳を舌で舐められ、「ひっ」と声を上げたが、すぐに屈辱的な状況に歯を食いしばった。
僕は紳士だ。男に犯されて喘ぐものか。 
「つまらねぇな。それとも、下半身を責められなきゃ喘がないのか?」
男はそう言って、僕の股間に手を伸ばすとズボンの上からペニスを撫でた。
「・・・ッ」
男の手つきは滑らかで、僕は下半身が思わず勃ちそうになるのを堪えた。
この男、犯してきた男は僕だけじゃないな。
「どうだ?俺は手慣れているんだぜ?」  
「や、やめた・・・あっ、ああっ」  
まるでレディに撫でられているような錯覚を感じた僕は、思わず頬を赤く染めて喘ぎかけた。その時。  
「その紳士を離すんだ」
ひとりの若い紳士が、突然姿を現した。
「ようやく見つけたぞ、性的倒錯の強姦魔。僕はおまえの被害者が男ばかりなのを奇妙に思っていたが、男色の趣味がある男だったとは」 
紳士は呆れたように呟いた。
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