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欲しいのは愛だけ
第2章 同窓会
Facebookはアカウントを作ったけど、
投稿は基本的にしていなかった。

ただ、中高の吹奏楽部とグループと、
大学の時のゴスペル中心の音楽サークルのグループにはなんとなく参加していた。

OG会の情報や、
毎年やっている大学の年に一度の大きなライブの情報を確認する為だった。


吹奏楽部の顧問の先生が退職されたということで、
久し振りに横浜でOG会が開催されることになった。


私は離婚したこともあって参加については気乗りはしなかったけど、
メッセンジャーで同期の友達がグループを作ってくれて、すごく誘ってくるので、
勢いに負けて出席することになった。


会場は横浜みなとみらいのホテルのレストランだった。


私は目立たないようにシンプルな黒いワンピースにアコヤ真珠のピアスと一粒ダイヤのネックレスだけつけて参加した。

バッグはシャネルの小振りのマトラッセを斜め掛けにして、
髪は少し緩やかな夜会巻きにした。

口紅とネイルだけは真紅で、
そうでなければまるでお葬式の格好で、
華やかな女子校のOG会の中でひっそりとしていた。


まあ、バッグの裏地とピンヒールの裏も真紅だから、
悪くないかなと思いながら、
シャンパングラスを片手に窓の外に広がる横浜の夜景をぼんやり観ていた。


「メイ、なんか地味じゃない?
お医者様と結婚したのよね?」と、たいして仲が良くなかった同級生から声を掛けられたので、

「離婚したの」と答えた。


周りの人達は、それを聴いて遠慮してくれて、
距離を置いてくれた。


やっぱり来るんじゃなかった…


そう思いながら、化粧室に行って、
もう帰ろうかなと思った。

流石にピンヒールも痛くて立ってるのも辛かった。


一応、今日の会に誘ってくれたコに声だけ掛けてから帰ろうと思って廊下を歩いていたら、少しよろけてしまって転びそうになった。
シャンパンのせいもあったかもしれない。

すぐ後ろに居た人が、支えてくれて転ばずに済んだ。


そっと見上げると、
かなり背の高い男性だった。

年齢は、私より上で、
すっきりとした顔立ちをしていた。


「大丈夫ですか?」と言う声のトーンも、
落ち着きがあってなかなか素敵だった。


「ありがとうございます。
高いヒール、慣れてなくて…」と言って、
体制を整えてお礼を言った。

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