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欲しいのは愛だけ
第2章 同窓会
「…」


気まずい沈黙の後、
航平さんは静かな声で、
「飯、食ったりはダメ?」と言った。

「優子先輩、嫌な気持ちされるんじゃないですか?」

「いや、それはない」と妙にキッパリした口調で言う。


「メイが嫌なことはしない。
キスとかもしないし、
襲ったりもしないから。
ダメかな?」と子供みたいに言うので、
思わず笑ってしまう。


「ご飯なら、良いですよ?」


「じゃあ、明日は?
夜が嫌なら、
ランチでも…」


「明日の昼は、
買い物に行くから…」


「付き合うよ?
荷物持つから、ダメ?」


「判りました。
じゃあ、起きたら電話してみてください」


「俺、朝早いよ?」


「私も早いですから」


「じゃあ、電話するよ。
メイ、おやすみ」


「航平さん、おやすみなさい」


「もう一度、言って?」


「おやすみな…」


「違うよ。
名前、呼んで?」


クスクス笑ってしまってから、
「航平さん、
おやすみなさい。
また、明日」


「メイ、また明日ね?
おやすみ」


そう言ってるのに、
受話器を持ったまま、2人とも電話を切れずにいた。


「航平さん…?」


「メイ、先に電話、切って?
俺、切りたくないから…」


「電話切って寝ないと、
明日にならないですよ?」


「じゃあさ、せーの!で切ろうか?
せーの!」
と言っても切らないから、
笑ってしまった。


「ダメだ。
これじゃあ、眠れないから。
メイ、良いから切って!」と言われて、
「判りました。
切りますね?」と言って、
そっと電話を切ってからも、
暫く電話を見つめていた。


多分、航平さんも同じだったのかもしれない。

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