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欲しいのは愛だけ
第9章 家族のカタチ
元々、航平さんも一緒に住んでいたというマンションは、
玄関から荒れ放題だった。
靴はいくつも出しっ放しで、揃えられていないし、
下駄箱の上には沢山の郵便物やチラシの類が雑然と山になっている。
通されたリビングも物が溢れ、ソファにも脱いだ服なのか洗濯された服なのか判らないものが積んであって座ることは出来ない。
仕方なくという感じででダイニングテーブルに座ったが、
その上も使いかけのコーヒーカップなどが置きっ放しで、
あたりもゴミなども散乱している。
カウンターキッチンの中は、容易に様子が想像出来た。
「これって一体…?
俺がいた頃は、ここまでは酷くなかったと思うけど…」
「優子は、家事もしなくなってたし、
子育ても…放棄してたんじゃないかな?」と、
疲れ切った様子でボソボソと話を始める。
「子育て放棄って?」
「俺も仕事に出てるからさ、
見張っていた訳じゃないけど…。
料理をしていた形跡、殆どなかった。
洗濯とかは俺がやってたけど、
畳むのが追い付かなくて、
干してるヤツから直接取って着てたし。
それに、メイちゃん…」
「なんだよ?
メイメイがどうしたんだ?」
「多分、ぶたれてたんじゃないかな?」
「えっ?」
「見た訳じゃないよ?
風呂とかも一緒に入らないからさ。
でも、なんか、痣みたいのが見えたことあった」
「そんな…酷いわ?」と、私は涙ぐんでしまった。
「森田にこんなこと、
頼める立場じゃないけど…。
メイちゃんを引き取って貰えないかな?
お願いだ」と、
優子先輩の旦那さんは深々と頭を下げた。
玄関から荒れ放題だった。
靴はいくつも出しっ放しで、揃えられていないし、
下駄箱の上には沢山の郵便物やチラシの類が雑然と山になっている。
通されたリビングも物が溢れ、ソファにも脱いだ服なのか洗濯された服なのか判らないものが積んであって座ることは出来ない。
仕方なくという感じででダイニングテーブルに座ったが、
その上も使いかけのコーヒーカップなどが置きっ放しで、
あたりもゴミなども散乱している。
カウンターキッチンの中は、容易に様子が想像出来た。
「これって一体…?
俺がいた頃は、ここまでは酷くなかったと思うけど…」
「優子は、家事もしなくなってたし、
子育ても…放棄してたんじゃないかな?」と、
疲れ切った様子でボソボソと話を始める。
「子育て放棄って?」
「俺も仕事に出てるからさ、
見張っていた訳じゃないけど…。
料理をしていた形跡、殆どなかった。
洗濯とかは俺がやってたけど、
畳むのが追い付かなくて、
干してるヤツから直接取って着てたし。
それに、メイちゃん…」
「なんだよ?
メイメイがどうしたんだ?」
「多分、ぶたれてたんじゃないかな?」
「えっ?」
「見た訳じゃないよ?
風呂とかも一緒に入らないからさ。
でも、なんか、痣みたいのが見えたことあった」
「そんな…酷いわ?」と、私は涙ぐんでしまった。
「森田にこんなこと、
頼める立場じゃないけど…。
メイちゃんを引き取って貰えないかな?
お願いだ」と、
優子先輩の旦那さんは深々と頭を下げた。