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欲しいのは愛だけ
第9章 家族のカタチ
「えっ?
でも、メイメイは俺のこと、嫌ってるよ?」

「違うよ。
今も、パパ、パパって言ってる。
俺のことは、『おじさん』呼ばわりだ」と寂しそうに笑う。

「突然、メイちゃんの実の父親が俺だって言われてもさ、
正直、実感も湧かないまま、
一緒に暮らし始めたよ?
まだ入籍はしてない。
優子は、家事もしない。
この部屋見れば、判るだろう?
そして、多分、メイちゃんに虐待してる」

「そんな…」
私は涙ぐんでしまう。

「メイちゃんはさ、
航平のことも、
優子の顔色見て、
一緒に悪く言ってたんだよ。
そうしないと優子がヒステリー起こす。
痣っぽいのが見えたことあった。
多分、今も残ってる。
訊いても、転んだとか、ぶつけたって言うんだよ」

私は震えと涙が止まらない。

「そんな時にこの前のことがあって…。
ショックを受けて、
今、児童相談所に一時的に保護されてるけど、
俺、稼ぎも悪い。
入籍もしてないから、法律的にはメイちゃんにとっては他人で何も出来ない。
物理的にも、出張もあって、夜も遅いから、児相から戻れても、
優子はまだ戻れないし、
あれではきちんと育児も出来ない。
こんな状況で、とてもメイちゃんの父親役すら出来ない。
航平、頼む。
メイちゃんを…」

そう言いながら、ポロポロ泣いている。


航平さんが口を開く前に、
私は言った。


「メイちゃんが良いなら…
うちの子供になれば良いわ?
航平さん、ダメ?」

「えっ?
メイ…そんな簡単には…」

「たった6歳とか7歳なのよ?
赤の他人だとしても、
私、放っておけないわ。
まして…一時は航平さんの子供として育ってたんでしょう?
愛情…ないの?
あるわよね?」

「…。
そんなに酷い状況とは知らなかった。
辛い想いをさせてしまったな」と、航平さんも涙ぐんでいた。

「でも、それ、
メイちゃん本人にもお話しを聞かないとダメよ?
いくら子供でも、
記憶が残らないほどの乳幼児じゃないもの。
女の子だし、色々判ってるわ。
だから…児相に行きましょう?」

「えっ?今から?」

「ご担当の方に連絡しないと、
突然はダメかもね?
電話してください」と私はキッパリ言った。


「その代わり…
二度と優子先輩には会わせないで欲しいです。
出来ますか?
それが約束出来るなら」と私は言った。
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