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女性教師の逢瀬
第5章 名残
正樹くんに、時間を伝え、家族に不必要な詮索を入れられない様に、帰宅を促す。正樹くんが、格好だけ机の上に広げた古典の教材を、カバンに仕舞う。
「正樹くん、手荷物検査。」
そう言って、私は、正樹くんのカバンの中に見付けた箱を、取り上げる。取り上げたのは、未開封のコンドームの箱。正樹くんも、そのつもりで、私の家に来た事の証拠。にやけてしまいそうになるのを抑えて、正樹くんを叱責する。
「正樹くん、こんな物、いつも持ち歩いているの。」
「あ…、そ、それは…、今日先生と会う為に、準備しました。」
動揺気味に弁解をする正樹くんが、可愛い。
「今日のためにねぇ…。他では使う予定があるの、正樹くん。」
「いえ……、先生の他には、使う予定はありません。」
「じゃぁ、私が保管しても、問題ないわね、正樹くん。」
はっきりとは言わないが、これからの可能性を、言葉に含める。

正樹くんを見送るために、玄関に立つ。靴を履いて立ち上がった正樹くんは、振り返り、いきなり、私を力強く抱きしめキスをする。童貞卒業したてにしては大胆な行動に、少し驚く。短いキスの後に、唇が離れる。
「先生、もう一度させてください。」
正樹くんの要望に、少し戸惑う。もう一回できる若者の体力に感心する反面、自分自身の体力を心配する。今でも、立っているのが精一杯なのに、これ以上できるのだろうか。しかし、正樹くんの真剣さに負けた。多分それだけではない。自分にも、淫猥な快感を味わいたい慾求が、心のどこかに有るのだろう。
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