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濡れて堕ちて……
第12章 審判
「嫌…やだ…浩一!いるなら開けて!!お願い、ちゃんと話したいの!浩一!」
チャイムを諦めた私は
近所迷惑なんて御構い無しに扉をドンドンとノックしながら声を張り上げた。
怖い、浩一に捨てられるなんて考えてもみなかった。
「浩一……お願い!!開けて……」
いるかどうかもわからない主に
何を必死に懇願してるのだろうか。
「浩一……浩━━━━━━━━━」
カチャリ…ギィー…
錠の解かれる音と共に
ゆっくりゆっくり
扉が開いた。
中から出て来たのは
「浩一……」
いつもの、あの浩一だった。
部屋着で、髪の毛もボサボサで、起こされて不機嫌さが顔に滲んだ
私の大好きな浩一だ。
「近所迷惑だろ?さっさと入れ…」
「うん…」
本当は今すぐにでも抱きつきたいけど、今の私にはそんな大それた事は出来ない。
とりあえず、中には入れた。
帰って来れたのだから。
まずはちゃんと話さなきゃ。
リビングに通された瞬間、窓から見えた夜空が一瞬ピカッと光った。
遠くの方で空がゴロゴロ唸ってる。
運転手さんの言ってた通り、雨が降りそうな気配がする。