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揺れる心
第1章 雨の日の出会い
6月初旬の土曜日は朝から本格的な雨だった。


はぁ…。


用意していた着物を見ながら、
小さく溜息をついた。


駒絽に夏の草花が上品に描かれた京友禅の訪問着に紗の帯。
長襦袢にも絽の半衿を縫い付けておいたけど…。

この雨では、タクシーに乗って行ったとしても、
乗り降りする時やちょっとしたことで、
水はねを上げたりしてしまいそうだから、
やっぱりお着物は辞めるしかないかな?


仕方なく、ゲストドレスに良さそうなワンピースを出して、
アクセサリーやバッグ、靴を用意し始めた。


…10センチ?12センチだったかな?
こんなピンヒールでは歩けそうにないから、
行き帰りは仕事で履いてる4センチのがっしりしたヒールのついた靴で行こうかな?
本当はスニーカーか、おじ靴で行きたいけど。


着替えを済ませて、髪を整えてから荷物を確認する。
シャネルのマトラッセに帛紗に包んだご祝儀袋を移し替えて、
お揃いのお財布にカードとお札を入れる。
ハンカチも入れて、シャネルのルージュも入れて…。

ルブタンの靴箱と脱いだ靴ごと、預け荷物に渡せるよう、
シャネルの少し大振りのトートバッグに靴箱を入れて、
誰も居ない部屋に向かって「行ってきます」と言って家を出た。



その日は部下の結婚式で、
社長と2人、主賓が座るテーブルについた。

離婚後、再就職の為に取り敢えず登録した派遣会社にスカウトされて、
そのまま、その派遣会社で働くことになった。
今は部長職をしている。
この年齢にしては早い出世で、
一目置かれてはいるけど、
忙しくて本当は毎日、仕事を辞めたくて仕方がなかった。



お決まりのコース料理
進行も普通
笑いあり涙ありで、披露宴は終わった。

二次会に行く若手の子に、
「楽しんでらっしゃい。これ、もしも三次会行くなら…」と、
ポチ袋に入れた軍資金を渡して、
クロークに向かう時だった。

足元の段差に気付かなくて、グラリとして、
思わず転ばないように力を入れたら、
膝に激痛が走った。
足首もちょっと痛い。

思わず声が出そうになったけど、
なんとか堪えて耐えた。

荷物を受け取って、靴を履き替えようとしたけど、
低いヒール靴も辛くて履けそうにない。

会場のスタッフさんが様子がおかしいことに気付いて声を掛けてくれて、使い捨てのスリッパを出してくれた。




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