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ナカまで愛でてトロトロに溶かして
第1章 【私、TL漫画家です】





「雑誌の編集担当者!!ヤバイ!服ちゃんと着て、つーか此処から出てこないで?すぐ帰ると思うから」




ダッシュで電話に出て鍵を開ける。
しまった!玄関の靴直してない!!




「鍵山さん、どうしたんですか?」




「うん、近くで打ち合わせあって、今日締め切りでしょ?見せてもらおうと思って寄ってみた、メールくれてたでしょ?」




「あ、はい!原稿も送りましたけど」




「ん、直接OK出したくてさ……あれ、誰か来てた?お邪魔なら帰るけど」




「あ……いや、どうぞ」




靴を直さなかった事に超絶後悔した。
どこか抜けてるんだよな、私って。
靴バレしたの聞こえたみたいでそっと章介も姿を見せる。
「あ、どうも」なんてぎこちない挨拶交わして紹介するハメになってしまった。




「えっと、元夫…の浅見章介です、円満離婚なんで…たまに会ったりしてます……で、こちらは鍵山工作さんで今一番お世話になってる担当者さんなの」




円満離婚……よくそのワード出たな。
引きつる笑顔、バレてませんように。
挨拶もそこそこにとにかく時間もないだろうからちゃっちゃと完成した原稿をチェックしてもらう。




気の利く章介はお茶も出してくれ、離れた部屋に避難してくれた。




いつもサラッと着こなすスーツは何処から見ても格好良い鍵山さん。
何気ない会話で最近41歳だとわかり、離婚歴もあると聞いた。
締め切りギリギリまで間に合わないと鬼のように追い打ちかけてくる仕事人間だけど、今日みたいにフラッと現れて穏やかな顔をしている時は本当ダンディーというか、イケオジ。




鍵山 工作さん、今の雑誌になってからずっと担当してくれている人。
煮詰まったりスランプ気味だと忙しいくせにドライブに連れてってくれたり息抜きさせてくれる。




「他言するなよ?俺はタカラアキの才能を買ってここまでするんだ、お前に潰れられたら困るんだよ、もっと頂点極めてもらわないとまだ原石のままだからな」




「今でさえあっぷあっぷしてるのに?」




「バーカ、お前なら賞狙えるよ」




そう言われて二人三脚してきたの。
誰よりも信頼してるし鍵山さんだから描けてこれた部分もある。










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