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ナカまで愛でてトロトロに溶かして
第8章 【栄光の座】







20○○年電子コミックマンガ大賞BL·TL部門【優秀賞】受賞作品


〜〈錆と鎖〉〜

作者: タカラアキ


(受賞コメント)

デビューして3作品目でようやく受賞出来ました。まだ夢のようです。
内容こそ少々過激ではありますが、1人の生身の女の不器用でも直向きな愛の行末に何か感じて頂ければ幸いです。
読んで頂いた読者さま、審査委員の方々には心より感謝致します。
ありがとうございました。






「ありきたりだな」




「いや、こんなもんでしょ、受賞コメントなんて」




「よし、これで出すぞ、明後日は受賞式だからな、気合い入れて行くぞ」




「はーい、また」




ヒラヒラと手を振ってお見送りするのに時間ないくせして一瞬でも無駄にしない性格は直りそうにもないわね。
腰から引き寄せられ唇が重なる。
誰も居なくて絶好のチャンスなのに、仕事が重なってるのね。




「ほら、時間ないんでしょ?」




「今夜来ても良い?」




「だーめ、記者が張ってるかもって言ってたじゃん」




「だよな、顔出しする前にスキャンダルはイメージに傷がつく」




「そうだよ、迂闊に来過ぎちゃダメなんだよ?」




「うぅ………わかった、新作のネームはまた連絡するよ」




「はーい」





最近もっぱら忙しく、こうして仕事の合間に一瞬会えるか会えないかが続いている。
会社にとっても一番大きなイベントで多数の作家が受賞しているので繁忙期みたいだ。




「わわ、アキ先生めちゃくちゃ綺麗です!」




ドレスアップして髪もセットした私にアシスタントの2人は褒めてくれたけど。
果たして、これで鍵山さんのOKは出るのか。



授賞式当日、迎えに来た鍵山さんも開口一番。




「やっぱり顔出しするべきだ」って太鼓判を押してくれた。
派手過ぎないオフホワイトのノースリーブのタイトワンピース。
ウエスト部分がレースになっていてオシャレだし一目惚れして即購入したもの。
黒のルブタンヒールを合わせてシックに決めた鍵山さんの隣に並ぶ。




巻き髪も片方に寄せてパールのピアスを揺らす。
エスコートしてくれる腕を組んで笑顔で「行ってきます」と言った。
終始褒めてくれるから会場に着くまでにゆでタコになっちゃう。












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