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ナカまで愛でてトロトロに溶かして
第4章 【本音と建前】
ドッキリとかじゃないよね?って何度も鍵山さんに聞いてしまうくらい感極まってしまった。
「意外と涙脆いんだな?頑張ってきた証だよ、そこは自信持て」
キャストはまだ未発表らしいがケイコは慎重に選ぶと思うって言ってた。
そうだよ、ケイコってただ恋して不倫に走っちゃうような子じゃないの。
結構際どい事も平気でしちゃう度胸がある女だから演じる側も捨て身にならなきゃいけないかも。
実写化なんて欠片にも思わなかったからかなり酷い事させてきちゃったよ。
どうしよう、でも演じてもらえるなら生ぬるいSM嬢にだけはならないで欲しい。
全ての魂捧げてきた主人公だから。
鍵山さんもキャスト選考には力入れてもらうよう圧は掛けてるって言っていた。
「でもどうして私なんかの作品を?不倫ものならもっと他に良い作品転がっているのに」
「ケイコの生き様に感銘受けたんだとよ、湯川さんが……早く結末が知りたいような知りたくないような浮つく心をいち読者として携われたらってコメントも貰ってる、言っとくけど凄いお方なんだぞ?」
わかってる。
ウィキペディア見ただけで凄い作品並んでるもん。
そんな方が私なんかの漫画を見てるってそう容易く信じれる訳ないんだよ。
「完結したら絶対漫画大賞応募しろよ」
「はい、勿論です」
ずっと夢だった漫画大賞。
TL部門でノミネートしていたけど2作品とも大賞は逃してる。
今回の“錆と鎖”はデイリーランキングも月間ランキングもMVPを獲っていて自信がある。
鍵山さんの言う、読者の心を揺さぶれ……それを常日頃念頭に置いて描き進めてきた。
ストーリーももうすぐ終盤を迎える。
頭の中では8割方ラストシーンは描けてるものの、残りの2割はケイコ自身に委ねてる。
どの選択をするかは描き始めてからじゃないと正直わからない部分もある。
或いは、全く描いてなかったシーンも出てくるかも知れない。
その前にドラマ化って凄過ぎる。
タカラアキの歴史上一番の転機だよね。
実感なんて全然まだ湧かないけれど、何か凄い事が起こりそうな予感。
「鍵山さん、私、絶対描き上げます!納得いくまで何度も……付き合ってくれますか?」