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第11章 フラッシュバック

装着が完了すると、直ぐに夫は入ってきた。

「あうっ・・・。」

涼子は心の中で舌打ちをした。

もう少し、愛撫を続けて欲しかったのだ。

獣のように自分を食べて欲しかった。

舌を這わせ乳首を蹂躙して欲しい。

口一杯バストを穂張り、舐めまわして欲しかった。

涼子の中に、強烈な快感が呼び覚まされてくる。

あたかも激しい体験をしたかのように、身体中が疼くのだった。

「あんっ・・・ああっあああ・・・。」

それでも、挿入された充実感が気持ち良い。

花園は洪水のように濡れていて、簡単に夫のものを招き入れるのだった。

「おおっ、うっ・・ふっ・・ふんん・・・。」

達彦も夢中で動いていく。

凄い勢いで絡みついてくる。

こんな事は今までなかった。

涼子のそれは、いつも力なく緩み、それが自分の性器へのコンプレックスになっていた。

それでも最近知った浮気な遊びでは、例えそれが演技だろうとしても、モット狭く感じていたのだが。

達彦に自信が沸き上がってくる。

それは更なる快感を男に与える。

「あー・・あっ・・ああっ・・・。」

もう少し。
涼子は願う。

むず痒い快感が十分に膨張するまで。

もっと激しく突いて欲しかった。

しかし、男をこれ以上持続させるには、涼子は魅力的過ぎるのかもしれない。

達彦の能力と経験ではここまでだった。

「おおおお、おおっ・・・い、いくよっ。」

（い、いや・・あ・・・ダメ、ダメ・・・。）

涼子は想いを口にするのを必死に耐えた。

はしたない自分を見せたくはなかった。

「おおおおおお、い、いくよぉー・・・。」

「ああああ、ああー・・・。」

涼子の叫びは昇るためではなく、空しさへの雄たけびであった。

急に夫の体重が重く感じられ自分の首筋で息を荒くしていたが、無造作に引き抜くとあお向けになっていた。

それでも生来の優しさから、笑みを浮かべて涼子の頬に手を当てる。

「良かったよ、君は？」

いつもの、お決まりのセリフを言う。

「良かったわ・・・。」

これも涼子の、いつもの返事だった。

達彦はまだあたたかいゴムを取り外すと、自分の始末をするついでに涼子にティッシュを当ててあげた。

涼子が所在なげに拭いていると、もう隣から達彦の寝息が聞えてきた。