この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
あなたが消えない
第15章 初出勤日の夜
「失礼だったら、失礼って言って下さいね、私は歪んだ性格してるから」
独身の子は、自分で自分を失礼だなんて言うから、
「もっと失礼で歪んだ性格の人、知ってますから大丈夫ですよ」
私はまた、翔を思い出して笑う。
「マッジィ~。それナイス」
嬉しそうに無邪気に笑っていた。
翔…。
翔の言う通り、自分らしく初日は頑張れたよ。
強くて優しい言葉を、ありがとう。
初出勤日は無事に終了して、夕方に翔が帰宅するのを、私は部屋で待つ。
17時…18時を過ぎ、19時をまわり、私は何度も床に耳を引っ付けては、下の部屋の物音を聞く。
やっぱり、まだ帰って来ていない。
結局20時、はたまた22時になり、私は痺れを切らして、玄関を飛び出して階段を降り、101号室の玄関前まで行く。
駐車場に車もない。
部屋に灯りもない。
「おい、翼」
その声に振り返る。
「こんな遅くに、どうした?」
自転車を引いた和男が帰宅した。
「あ、あの、いや…」
「寒いから、早く中に入るぞ」
和男と私は、部屋に戻る。
翔…。
今夜もここには、戻らないつもりなの?
今日の話が、したかったのに…。
「翼、今日はどうだったの。初出勤だったんだろ?」
和男が、翔よりも先に私にその話で訪ねてくるのが嫌で、
「うん、まぁまぁ」
曖昧な返事をした。
「何だよ、それ」
「和男、早くご飯食べて」
そして、わざと話を変えた。
さっさと私はお風呂に入り、さっさと後片付けをして、さっさと布団に横たわった。
「今夜はお疲れ様」
やけに優しい言葉を和男に言われても、
「おやすみ」
素っ気なく、見向きもしないで瞳を閉じた。
翔…。
私は瞳を閉じても眠れずにいた。
翔…。
頭の中に、何度も翔の姿が浮かぶから。
深夜2時頃だろうか、和男のイビキで更に眠れずに居ると、駐車場に車を停める音がして、思わず私はハッと起き上がる。
もしかして?!
私は和男が熟睡しているのを確認して、玄関の扉をコッソリと開けて、下の駐車場を見ると。
やっぱり、翔!!
独身の子は、自分で自分を失礼だなんて言うから、
「もっと失礼で歪んだ性格の人、知ってますから大丈夫ですよ」
私はまた、翔を思い出して笑う。
「マッジィ~。それナイス」
嬉しそうに無邪気に笑っていた。
翔…。
翔の言う通り、自分らしく初日は頑張れたよ。
強くて優しい言葉を、ありがとう。
初出勤日は無事に終了して、夕方に翔が帰宅するのを、私は部屋で待つ。
17時…18時を過ぎ、19時をまわり、私は何度も床に耳を引っ付けては、下の部屋の物音を聞く。
やっぱり、まだ帰って来ていない。
結局20時、はたまた22時になり、私は痺れを切らして、玄関を飛び出して階段を降り、101号室の玄関前まで行く。
駐車場に車もない。
部屋に灯りもない。
「おい、翼」
その声に振り返る。
「こんな遅くに、どうした?」
自転車を引いた和男が帰宅した。
「あ、あの、いや…」
「寒いから、早く中に入るぞ」
和男と私は、部屋に戻る。
翔…。
今夜もここには、戻らないつもりなの?
今日の話が、したかったのに…。
「翼、今日はどうだったの。初出勤だったんだろ?」
和男が、翔よりも先に私にその話で訪ねてくるのが嫌で、
「うん、まぁまぁ」
曖昧な返事をした。
「何だよ、それ」
「和男、早くご飯食べて」
そして、わざと話を変えた。
さっさと私はお風呂に入り、さっさと後片付けをして、さっさと布団に横たわった。
「今夜はお疲れ様」
やけに優しい言葉を和男に言われても、
「おやすみ」
素っ気なく、見向きもしないで瞳を閉じた。
翔…。
私は瞳を閉じても眠れずにいた。
翔…。
頭の中に、何度も翔の姿が浮かぶから。
深夜2時頃だろうか、和男のイビキで更に眠れずに居ると、駐車場に車を停める音がして、思わず私はハッと起き上がる。
もしかして?!
私は和男が熟睡しているのを確認して、玄関の扉をコッソリと開けて、下の駐車場を見ると。
やっぱり、翔!!