この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
あなたが消えない
第17章 震える心
翔がこのアパートを去って3日、1週間、1ヶ月が経過した。

日曜日の和男との休みの日に、リフォーム会社がうちに挨拶にやってくる。

「下で作業しますんで、ご迷惑お掛けすると思いますが、ご理解よろしく願いします」

「…はい」

私は返事をして、またリビングに戻ってソファーにうずくまる。

「今朝は下で、やけに物音がすると思ったらリフォーム会社っだって?永津さん、引っ越したのか?」

「そうみたい」

バカじゃん、コイツ。

今頃になって気が付くだなんて、本当に仕事バカだから、何一つ他で関心ない証拠ね。

私は悲しみの顔を隠すように、丸くなる。

「挨拶は?」

「知らない」

「挨拶なしか。なかなかの非常識人。おまえと同じくらい世間知らずだな」

和男は居なくなったからと、露骨に大きな声で言う。

もう…うるさい!

どっか行ってよ。

「ちゃんと102号室の奥さんには、挨拶してったってば」

私には無かっただけで。

だって私は、仕事へと行った後だったんだから。

「これで、あそこのご夫婦も俺達も気兼ねなく、生活できるな」

何それ、本当にバカじゃん!

「…ふぅ~ん」

すると、楽しげな102号室のご夫婦の笑い声がベランダから風に乗って聞こえてきた。

私は気兼ねなくだなんて、思わない。

私は全然、楽しくなんて過ごせない。

翔の居ない、こんな寂しい生活で。

声高らかに、笑えない。

翔の居ない、こんな悲しい生活で。

こんな離れ方、一方的にされたら、それこそ永遠に忘れられない人になっちゃうよ。

翔もバカだよ。

身勝手過ぎる。

「今日はのんびりするぞ~!んがぁーー!」

和男は大きな声でまた、背伸びをする。

はぁ~…。

本気で、うっとうしいと思った。
/145ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ