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あなたが消えない
第17章 震える心
翔じゃなくても、こんなうるさい男は苦情の一言でも言ってやりたくなるってば。

ずっと頭から翔の事が離れない。

今日は一人で泣けない。

和男が居るから、つらくても泣けないから余計に苦しい。

今頃、翔は奥さんと子どもと…。

はぁ~あ。

楽しくない。

毎日楽しくない。

お笑い番組見ていても、笑えない。

和男はバカ笑いして、何度も私に同じように笑えと、目を合わせるけど。

バカみたい。

全然、あんたなんかと見るお笑い番組なんて、楽しくないのよ。

そう思いながら、最初の内は愛想笑い。

やがて、耳障りで頭が痛くなるから、寝室へ一人で布団の上に横たわる。

うるさい男は嫌い。

大嫌い。

翔みたいに、甘くて低い声で必要な時だけ、言葉を呟くような、そんなのが一番気持ちが安らぐのに。

翔の声も大好きだったな…。

「永遠の永の字の永津です」か。

「永遠の仲という事で、よろしくお願いします」か。

それから何を言われたかな。

思い出すあの声に、胸がギュッと縮んだ。

何となく痛くて、胸に手を当てた。

翔、愛してるよ。
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