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あなたが消えない
第19章 あなたが消えない
そして5月の連休明け。

私はその夜どうしても寂しさに耐えられなくなって、翔を想い涙をポロポロと流しながら、自慰行為を何度も何度もしていた。

上も下も、丸裸になって。

布団の上で、両手を使って、淫らにしていた。

もう私は完全におかしくなっていた。

気なんて、とっくに狂っていた。

この近くに住んでいるはずなのに、逢えない事と。

恋しさと。

苦しさと。

忘れられてるような気がして、悲しくて。

んんんっ…うん!…うん!…うん!…翔に逢いたい!…誰か…お願い…翔に逢わせて…!

クネクネと身体をねじらせては、指先で穴と突起物を刺激する。

もう…こんなになってるの…ヌルヌルして…翔を欲してるの…翔…入れて!…お願い…入れて!…あぁっ!…あん!あん!あん!…

「ダメッ…イッちゃうん!」

私はそのまま丸裸で布団にくるまり、眠りについた。

和男もいなくなって、翔への想いに歯止めが効かなくなって、真夜中の2時に相変わらず起きて、もちろんパジャマを着て、素足で音も立てずにこっそり玄関を抜けて、階段の真下まで降りて行く。

翔……。

私は101号室の扉に触れて……。

涙が込み上げて、声をあげずに静かに泣く。

翔が、この扉を開けて出て来てくれる。

そんな姿を思い出して……。

でも、待っても待っても扉が開く事はない。

翔、やっぱり、もう私の事は忘れてしまったんだね。

もう、私たちの永遠の仲は終わってしまったんだね。

逢いたいのに、逢えない。

私が、あなたを忘れられたら一番ラクなのに。

…忘れられる訳がないじゃない。

今でも、こんなに愛してるのに。

…あなたへの愛が消えてしまう訳がないじゃない。

私はポロポロと涙をコンクリートに落として、また自分の部屋へと戻るのだ。

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