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第3章 釘を刺される

私は日曜日の和男が休みの日に、朝からモーニングに和男を誘って、喫茶店に入った。

和男は、私から何か提案をすると、露骨に嫌な顔をする。

今だってそう。

「何、また俺に要求でもある訳？おねだりは受け付けないよ」

「そんなのじゃないってば」

「朝からモーニングか。気晴らしにはいいけど、俺は美味いコーヒーしか絶対飲まないからな」

ケッ！…。

何が美味しいコーヒーだ。

そんなもの、ただの豆を擦っただけの、黒い飲み物だろが。

「チェーン店だから、美味しいはずよ」

和男は深い溜め息を付いて、コーヒーが来るのを待つ。

「何も分かっとらんな、翼は…」

小声で、しかも呆れた口調で言われた。

「ねぇ、ご挨拶周り無事に済ませたよ」

「はっ？やらなくてもいい事をやったのか？おまえ、それやって何か厄介な事が起きても、次からはもう人のせいには出来なくなるぞ」

「何、それ」

人のせいって。

前のアパートは、明らかに隣の若いバカップルの深夜土日関わらずの騒音のせいでしょ。

和男の知らない間も、私は知ってるんだから。

何度一人で言いに言った事か。

ことごとく言い返えされて、どれだけ悔しかった事か。

「102号室の旦那さんに会ってね、優しそうな人だったから、安心しちゃった。共働きらしくて、物静かなご夫婦なんだって」

「知ってる。俺もとっくに家の近くで会って話ているから」

「そうなんだ」

意外だな。

近所付き合いなんて一切しないと思ってたから。