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あなたが消えない
第6章 トラブル
月曜日の夕方、インターホンが鳴る。

「はい」

部屋に取り付けられたカメラの画面を見ると、真っ黒。

えっ?…隠されてる?

こっそり扉を開けると、凄い勢いで外側から開けられた。

「こんばんわ」

なっ…永津さん!

「タッパ、お返ししに来ました」

「はい」

「遠山さん、あなたに一つ言っておきたい事があるんです」

「な、何ですか?」

「この辺りは真夜中も、よりいっそ静かなんですよ。土曜日、セックスしてましたよね?もう少し、お静かにやっていただけませんかねぇ?」

ニヤリと笑い、玄関先で私に大きな声で永津さんは言う。

「あなたの喘ぐ声、丸聞こえでしたよ!」

やっ…やめて!

私は慌て、永津さんの上着の袖を引っ張り、玄関の中へと入れた。

「ひどい!あんな大きな声で恥ずかしいじゃないですか」

一体、私が何をしたいの?

親切ぶって、嫌がらせがしたいの?

「大きな声って、あなたがでしょ?聞こえた僕のが恥ずかしい気持ちになりましたよ。仲がよろしいのは結構ですけど、下には男一人が住んでるんです。もう少し配慮してもらわないと困るなぁ。あれじゃ、僕に対しての嫌がらせでしょ?」

「えっ…」

私が、嫌がらせをしたって言いたいの?

だから、文句付けに来たの?

「永津さんの今までのご親切は、本当に感謝してます。でも、もうこれ以上は、お返しに困りますから、気を付けますから…」

私は小さく、うつむく。

直視は何かされそうで怖いから。

「遠山さん、ロールキャベツ本当に美味しかった。でも正直な所、僕はこれだけじゃ物足りないんですよ。深夜の嫌がらせの一件もありますし」

「どういう事ですか?」

私はそう低い声で言われて、思い付かずに頭の中が真っ白になった。
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