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あなたが消えない
第10章 愛を植え付ける
アルバイトをはじめたら、102号室の奥さんみたいに、朝から長い時間働かしてもらって、なるべく家の中に居ないようにしよう。

これからは、永津夫婦と接触しないようにしよう。

仕事に一生懸命になれば、忙しい日々になれば、翔への気持ちも自然と消えていくはず。

そして、そのうち心も身体も芯から翔の感覚が抜けていくはずだから。

嫉妬で、苦しみに悩まされる日々は送りたくはない。

そんな事、目に見えて分かるから。

でも、何で私がこんなに努力しなくちゃいけないの?

愛してるからこそ、離れていこうとする努力を、何故私ばかりがしなくちゃいけないの?

あの人の奥さんが、私だったら。

最初からこんな事で、自分の生活を変えなくても済んだのに。

悔しいよりも、苦しい。

私は翔の事を考えていたら、いつの間にやら眠ってしまった。

どれくらい眠ってしまったんだろう。

長い夢で、私はそれでも翔と激しく体位を何度も変えるセックスをしていた。

恥ずかしい。

やっぱり、求めてるんだ。

欲しいんだ、翔を。

私の中で何度も突き立てられる快感が、リアルに私の夢の中で再現されていた。

私の乳首に噛み付くように吸う翔の表情が、目を閉じると浮かぶ。

身体がまた、呼び覚まされる。

「…翔…」

そう呟いて、翔とのキスを思い出すと自分の乳首が硬く尖るから、下着に擦れて感じてしまった。

「…ん…」

こんな事で、感じてしまうだなんて。

私は自分の興奮してしまった乳首に触れて、呟いた。

「…翔を求めちゃダメ」

私は自分の言葉に、一気に寂しさが襲った。

求めないと決めた途端に、ビクビクと身体が疼きはじめて、私は足を何度もくねらせた。

「…はぁっ…あっ…んんっ…」

息が荒くなる。

翔を求めちゃダメなんだよ、私は。

そう言って、私は気持ちを慰めるようにパンツの中に指を入れた。

「…翔は…翔は…どうして…私の翔じゃないの…」

私の指で、我慢して。

もう、これ以上は翔を求めたらダメなのに。
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