この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
近くて遠い
第12章 善人か悪人か
─────…
ガチャ…カシャ…
広い部屋に大きなテーブルと豪華な食事…。
鳴り響くのは、三人のスプーンとフォークの音だけ。
「おねえちゃんおいしいね…」
周りの雰囲気につられてヒソヒソ声で隼人が言った。
「本当ね、おいしい。」
出される食事はどれも絶品。
使用人のような扱いを覚悟していたが、豪華な部屋も私と隼人それぞれに用意され、まるでお客のような扱いに戸惑いを覚える。
いい人なのか…悪い人なのか…
チラと向かいに座る有川様を見た。
優雅に食事をとる姿はそれだけで絵になる。
「あ…」
突然有川様は顔をあげると目があってしまい、私はすぐさまそらした。
ドキドキ…
何だろう、あの目で見られるとどうしていいか分からない…。
「お姉ちゃん今日はバイトに行かないの?」
少し遠い位置にあるイスを自分で近付けながら隼人がまたヒソヒソといった。
「あ、もう!食事中に立たないの!」
「だって遠いんだもん。」
「うるさい」
拗ねながら同様に声を大きくする隼人に、光瑠さんが心無く言った。
っ……
響いた低い声にビクンと身体が震える。
「こいつはもう働きには出ない。分かったら食事くらい黙ってしろ」
「ほんとにーー!?」
有川様の言葉により興奮して隼人が大声を出した。
「じゃあこれから夜もずっと僕といるのー!?」
「う、うん。いるから…
たから隼人静かにしてっ」
さっきから黙らせろ!ていう視線を前から感じるから…
「やったっ」
隼人は小さくそう呟くと、近付けたイスに座って再びモグモグと食べ始めた。
ふぅ…
ようやく黙った隼人にホッとして前を向くと、むくれた顔をして有川様が私を見ていた。
ガチャ…カシャ…
広い部屋に大きなテーブルと豪華な食事…。
鳴り響くのは、三人のスプーンとフォークの音だけ。
「おねえちゃんおいしいね…」
周りの雰囲気につられてヒソヒソ声で隼人が言った。
「本当ね、おいしい。」
出される食事はどれも絶品。
使用人のような扱いを覚悟していたが、豪華な部屋も私と隼人それぞれに用意され、まるでお客のような扱いに戸惑いを覚える。
いい人なのか…悪い人なのか…
チラと向かいに座る有川様を見た。
優雅に食事をとる姿はそれだけで絵になる。
「あ…」
突然有川様は顔をあげると目があってしまい、私はすぐさまそらした。
ドキドキ…
何だろう、あの目で見られるとどうしていいか分からない…。
「お姉ちゃん今日はバイトに行かないの?」
少し遠い位置にあるイスを自分で近付けながら隼人がまたヒソヒソといった。
「あ、もう!食事中に立たないの!」
「だって遠いんだもん。」
「うるさい」
拗ねながら同様に声を大きくする隼人に、光瑠さんが心無く言った。
っ……
響いた低い声にビクンと身体が震える。
「こいつはもう働きには出ない。分かったら食事くらい黙ってしろ」
「ほんとにーー!?」
有川様の言葉により興奮して隼人が大声を出した。
「じゃあこれから夜もずっと僕といるのー!?」
「う、うん。いるから…
たから隼人静かにしてっ」
さっきから黙らせろ!ていう視線を前から感じるから…
「やったっ」
隼人は小さくそう呟くと、近付けたイスに座って再びモグモグと食べ始めた。
ふぅ…
ようやく黙った隼人にホッとして前を向くと、むくれた顔をして有川様が私を見ていた。