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第12章 善人か悪人か

「すみません…」


軽く頭を下げて私は目を合わせないよう下を向いて食べた。



子どもが嫌いならわざわざ一緒に食べる必要ないのに…とも思うが、良くしてもらっているのにそんなことも言えないので黙っていた。



カシャ…


再びフォークとスプーンの音だけが鳴り響く。




気まずい…


そんなことを思った矢先、食べ終わったお皿を下げていたメイドさんが、手を滑らして派手にお皿を割ってしまった。




ガシャーーンッ




静まり返っていただけに余計にその音がうるさく響く。



「もっ申し訳ありません！！」


見ると、私と年は変わらないくらいの子が顔を青くしながら有川様に謝っていた。


有川様は冷たい目で震える彼女を見た。



「わざわざ皿を割らせるために、お前を雇っているんじゃない」


「すみません…」



必死で謝る彼女を有川様は冷たく睨んだ。


ピン──と場の雰囲気が張りつめる。



「役に立たないのならやめてしまえ。」


「っ………」



彼女は目一杯に涙を溜めた。


なんて冷たい言葉…



「…ミスくらい誰だってすると思います」




っ……しまった……


堪えきれずに出てしまった言葉にその場にいたみんなが私を見た。


「何だと！？」


有川様は怒鳴りながら凄まじい勢いで立ち上がった。


「っ……」


あまりの迫力に身体がすくむ。



いや、でも…私間違ってない…


「でっ、ですから…ミスくらい誰だって…」


「俺に文句があるのか！！」


「ちょっ、ちょっと手を滑らせてしまっただけじゃないですかっ！！」


あまりの横柄な態度に私は自分の立場を忘れて怒鳴り返した。


予期しなかったのか、そんな私に目を見開く有川様。