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近くて遠い
第14章 異変
「……えぇ、分かっています。でも、本当の事も言わないで、嘘までついて下さって…」
部屋を去ろうとする有川様を私はじっと見つめた。
「嘘……?」
有川様が眉をひそめた。
「あ、あの…婚約してるって…」
少し照れながら、そういうとしばらく有川様が黙った。
「あの…」
二人の間に流れる焦れったい時間。
何かが掴めそうなのに、
やはり手応えはない。
「……面倒だったから合わせただけだ」
目をそらしながら、
有川様がそう言った。
「……はい…」
窓からの光が
二人を照らす。
「仕事にいく。」
素っ気なくそう言って扉へ向かう有川様。
「あっ、有川様…」
無意識に呼んでいた。
何故か胸が苦しくて
信じたいのに、
何かが足りない…
「光瑠。」
「え……?」
扉の前の寸前で有川様が何かを呟いた。
「いつまでも、名字で呼ぶのも様付けもやめろ。
俺の名前は光瑠だ。」
「えっ…あ…」
ギラギラと光る目が私を捕らえる。
「分かったら呼んでみろ。」
「っ…ひっ…光瑠さ……ん?」
戸惑いながらそういう私を無表情で見つめる。
「それでいい。」
光瑠さんはそう言うと、乱暴に扉を開けて、
仕事に向かって行ってしまった。
部屋を去ろうとする有川様を私はじっと見つめた。
「嘘……?」
有川様が眉をひそめた。
「あ、あの…婚約してるって…」
少し照れながら、そういうとしばらく有川様が黙った。
「あの…」
二人の間に流れる焦れったい時間。
何かが掴めそうなのに、
やはり手応えはない。
「……面倒だったから合わせただけだ」
目をそらしながら、
有川様がそう言った。
「……はい…」
窓からの光が
二人を照らす。
「仕事にいく。」
素っ気なくそう言って扉へ向かう有川様。
「あっ、有川様…」
無意識に呼んでいた。
何故か胸が苦しくて
信じたいのに、
何かが足りない…
「光瑠。」
「え……?」
扉の前の寸前で有川様が何かを呟いた。
「いつまでも、名字で呼ぶのも様付けもやめろ。
俺の名前は光瑠だ。」
「えっ…あ…」
ギラギラと光る目が私を捕らえる。
「分かったら呼んでみろ。」
「っ…ひっ…光瑠さ……ん?」
戸惑いながらそういう私を無表情で見つめる。
「それでいい。」
光瑠さんはそう言うと、乱暴に扉を開けて、
仕事に向かって行ってしまった。