この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
近くて遠い
第14章 異変
──────…

様子がおかしい…


身体に異変を感じた光瑠は自身の手のひらを見た。



震えている…?



その手は確かに震えていた。

光瑠はその手をゆっくり握った。


身体から何か溢れているような感覚。


自分が少し怖かった。


あの日、

気が付いたら、真希の母の部屋の前に立っていた。


何がそうさせたのかは分からない。


正直、
病人を見るのは苦手だった。


病院に通ったあの不安な日々を思い出してしまうから…


にも関わらず、

光瑠はドアノブに手をかけた。




真希が自分の身を呈してまで、守ったもの。


それに興味があったのか


それとも

真希が喜んでくれるかもと思ったのか


……両方なのか。


鼻を掠める薬品の香り


頬も痩けて

息をするのも精一杯なその身体。

少しでも触れれば消えてしまうのではないかと思うくらい、はかない…


『あなたが……有川さん…ね?』


『…有川…光瑠と申します…』

辛うじて出した声に、

彼女は微笑んだ。




あれがいけなかった。


あの日、あの部屋に行かなければ…。



光瑠は握った拳に力を入れた。


『勝手に……婚約を決めて、すみませんでした…』


どうしてそんな偽善者みたいな事を言ったのか。


今でもそれはよく分からない…




『あら…
確かに最初はびっくりしたけど…でももう気にしてません。真希だけじゃなくて私や隼人まで引き取って下さって、本当に感謝しているわ。
ありがとう…有川さん…
真希を……どうか幸せにしてやってください…』



光瑠を恩人として見つめる目、

子を愛す母の目、




弱点をつかれたように光瑠の心は崩れていった。



/518ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ