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近くて遠い
第16章 朝食の味
───────…
ドキドキしたまま布団を被っていたらいつの間にか朝になっていた。
寝て……ないよね…
ずっと考え事をしていたせいで自分が眠っていたのかそうでないのか定かでない。
────婚約を本当のことにしてもいい…
あんなこと言うからっ…
私は頭を振ってベッドから身体を起こした。
着替えて部屋を出ると、静まり返っている。
まだ5時だからそれも当然だよね…
私は足音をなるべく立てないようにして、ゆっくりと歩き出した。
「真希様っ!随分早いですね!」
大きな調理室の扉をあけるとマスクをした愛花ちゃんが私に気付いて声をあげた。
「おはよう…」
スッと息を吸うとおいしそうな香りが身体に満ちる。
私は他のメイドさんにもあいさつをすると、昨日ドアの横にかけたエプロンを取って着けた。
「今日もまたなさるんですか?」
マスクをしたメイドさんが目を丸くして私に尋ねた。
「えぇ…ごめんなさい。邪魔ですか…?」
「まさかそんなことありませんよ!でもご無理はなさらないで下さいね。」
そう言って彼女は新しいマスクを私に渡した。
昨日、拒む古畑さんに懇願して、私は調理室の仕事をもらった。
やることはお皿洗いや掃除など、単純なことだったのでとても楽だったが、凝った料理を出しているせいで調理器具やらなんやら、以外と量が多くて割りとやり甲斐があった。
昨日気付いたらベッドで寝ていたのもきっと久しぶりに動いたからだろう…
「なにをやればいいですか?」
せっせと働くメイドさんに、邪魔にならぬよう声を掛けた。
「朝はあまり仕事ないんですよ…もう食事もあらかた出来てしまったし…どうしましょう…」
「そうですか…」
もう少し早く来ればよかったと後悔していると、扉が開いて古畑さんが現れた。
ドキドキしたまま布団を被っていたらいつの間にか朝になっていた。
寝て……ないよね…
ずっと考え事をしていたせいで自分が眠っていたのかそうでないのか定かでない。
────婚約を本当のことにしてもいい…
あんなこと言うからっ…
私は頭を振ってベッドから身体を起こした。
着替えて部屋を出ると、静まり返っている。
まだ5時だからそれも当然だよね…
私は足音をなるべく立てないようにして、ゆっくりと歩き出した。
「真希様っ!随分早いですね!」
大きな調理室の扉をあけるとマスクをした愛花ちゃんが私に気付いて声をあげた。
「おはよう…」
スッと息を吸うとおいしそうな香りが身体に満ちる。
私は他のメイドさんにもあいさつをすると、昨日ドアの横にかけたエプロンを取って着けた。
「今日もまたなさるんですか?」
マスクをしたメイドさんが目を丸くして私に尋ねた。
「えぇ…ごめんなさい。邪魔ですか…?」
「まさかそんなことありませんよ!でもご無理はなさらないで下さいね。」
そう言って彼女は新しいマスクを私に渡した。
昨日、拒む古畑さんに懇願して、私は調理室の仕事をもらった。
やることはお皿洗いや掃除など、単純なことだったのでとても楽だったが、凝った料理を出しているせいで調理器具やらなんやら、以外と量が多くて割りとやり甲斐があった。
昨日気付いたらベッドで寝ていたのもきっと久しぶりに動いたからだろう…
「なにをやればいいですか?」
せっせと働くメイドさんに、邪魔にならぬよう声を掛けた。
「朝はあまり仕事ないんですよ…もう食事もあらかた出来てしまったし…どうしましょう…」
「そうですか…」
もう少し早く来ればよかったと後悔していると、扉が開いて古畑さんが現れた。