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近くて遠い
第17章 偵察
何故……?
未だに納得できない。
どんなに苦しくても、
家族を置いていこうと言う考えは私には全く浮かばない。
愛しているから。
それは、一々『自分は家族を愛している』と思う必要もないくらい、当たり前のことだと思ってた。
お父さんは違ったんだ…
私とお母さんと隼人は
愛されてなかった…?
いつもこの結論になってしまう。
だから考えたくないんだ。
基礎が崩れて
それはとても不安定で、
自分の存在が危うくなりそうになる。
私は視線を車内に戻す。
真剣に酒田さんと何かを論じる光瑠さんの凛々しい横顔が目に入った。
揺るぎないとは言えない…彼もお父さんと同じように、私を不安定にさせる。
でも彼はそれだけじゃない。
極端に省略された彼の行動や言動は、たまに私を安心させるようなものが垣間見える。
私は
今、
それを懸命に
繋ぎ合わせてる。
「どうした」
視線に気付いたのか、光瑠さんが少し優しげに私を見た。
「いいえ、なんでも…」
今はそれでいい。
一瞬で消えてしまうような安心でも、心地よいから…。
「随分眠そうだな」
大きくて綺麗な手が、私の頬を包んだ。
「ちょっとだけ…」
睡眠不足が祟ったのか、
車の優しい揺れに揺れながら確かに睡魔が襲っていた。
「目的地までまだ時間がある。着いたら起こしてやるから、寝ろ。」
光瑠さんはそう言って、
暗い車内の中でも眩しく光る白いジャケットを脱いだ。
「ん。」
ほわりとまだ光瑠さんの温もりが残るジャケットが私を包む。
「あ、ありがとうございます。」
「いいから、寝ろ。」
ぶっきらぼうな言葉。
でも、
今は優しく聞こえる。
私は小さく笑うと、ジャケットにくるまりながら、あっという間に眠りについた。
未だに納得できない。
どんなに苦しくても、
家族を置いていこうと言う考えは私には全く浮かばない。
愛しているから。
それは、一々『自分は家族を愛している』と思う必要もないくらい、当たり前のことだと思ってた。
お父さんは違ったんだ…
私とお母さんと隼人は
愛されてなかった…?
いつもこの結論になってしまう。
だから考えたくないんだ。
基礎が崩れて
それはとても不安定で、
自分の存在が危うくなりそうになる。
私は視線を車内に戻す。
真剣に酒田さんと何かを論じる光瑠さんの凛々しい横顔が目に入った。
揺るぎないとは言えない…彼もお父さんと同じように、私を不安定にさせる。
でも彼はそれだけじゃない。
極端に省略された彼の行動や言動は、たまに私を安心させるようなものが垣間見える。
私は
今、
それを懸命に
繋ぎ合わせてる。
「どうした」
視線に気付いたのか、光瑠さんが少し優しげに私を見た。
「いいえ、なんでも…」
今はそれでいい。
一瞬で消えてしまうような安心でも、心地よいから…。
「随分眠そうだな」
大きくて綺麗な手が、私の頬を包んだ。
「ちょっとだけ…」
睡眠不足が祟ったのか、
車の優しい揺れに揺れながら確かに睡魔が襲っていた。
「目的地までまだ時間がある。着いたら起こしてやるから、寝ろ。」
光瑠さんはそう言って、
暗い車内の中でも眩しく光る白いジャケットを脱いだ。
「ん。」
ほわりとまだ光瑠さんの温もりが残るジャケットが私を包む。
「あ、ありがとうございます。」
「いいから、寝ろ。」
ぶっきらぼうな言葉。
でも、
今は優しく聞こえる。
私は小さく笑うと、ジャケットにくるまりながら、あっという間に眠りについた。