この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
近くて遠い
第19章 運命
「まったく…」


要はその財布を酔っ払いのポケットに入れた。


「手ぶらで、しかも傘もささずに…
まだ君…若いだろ。高校生…か?」



「いっいえ…
高校はやめました…
カバンはさっきひったくられて…
傘はあまりささない方なんで…」


少女はされた質問に一気に答えた。


傘はあまりささない?


やはり不思議だ、と要は思った。



「変わってるな、君。
ひったくられたって…」


自分でそう言いながら、ハッとした。


「あぁ、なるほど。
それで、魔がさしたんだね。」


要がそういうと、少女はばつの悪そうに俯いてしまった。


彼女は本来清いのだということは要にはすぐ分かった。

ひどく自分恥じている。


どうして私…


そんな心の葛藤が聞こえてきそうだ。



どんな理由があって、
今彼女がここにいるのか、

そんなことは要には分からない。


分からないけれど、

生きようという彼女からみなぎる力を強く感じていた。


俺に出来ることは…


要は自分のポケットをまさぐった。



「ほら、これ。」



「え?」



うつ向く少女の手をとって今あるだけのお金を無理矢理握らせた。



「少ないけど、とりあえずどうにかなるだろ。」


今の自分には
これくらいしか出来ない。



「そっそんなっ…

申し訳ないです!
今知り合った方にこんな…!!」


手に入ったお金を見て彼女は狼狽えた。


「じゃあなんだ、
今度は他の誰かの財布を盗むのか…?」



「………」



少し意地悪な要の質問に彼女は黙りこくってしまう。


「いいから取っておくといい。
それと、その傘は君にあげるから、ちゃんと家までそれをさすんだ」


「そんな…
だめです、
何の縁もない方にこんなによくしてもらって…」


何の縁もない…

確かにそうだ。


でも、それだけで終わりにしたくない。



「そんなに気になるなら、借金てことにしようか。」


「え…」


要の提案に彼女は目を見開いた。



「そんな驚くな…。
利子も期限もなしにするから安心するといい。
返済は余裕が出来たらでいいから。」



/518ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ