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近くて遠い
第21章 近くて遠い
───────…
要さんの言葉に身体が震えるのが分かった。
どうして自分は、忘れられているとか覚えてるかもとか、そういうことにしか頭が回らなかったのだろう…
──────頑張ろうって思わせてくれるような…そういう人に出会ったから
恋人がいることを示唆するその言葉が私の心を大きくかき乱していた。
黙ったまま要さんを見つめた。
キリっとした顔立ちはとても男らしくて、黒い髪がサラサラと風になびく。
こんなにかっこよくて優しい人に恋人がいないわけがない。
そんな当たり前のことに、私は今更気付いた。
「真希さん…?」
私が言葉を返さないので要さんは眉をひそめていた。
「あっ…すみません…」
我に返って言葉を探す。
だけど適当な言葉が浮かばなくて狼狽えたまま時間だけが過ぎて行く…
「真希さんって随分かわいらしい方ですね。」
フッと笑いながら言った要さんの言葉にドキッ─と胸が鳴った。
「そっ、そんなっ、かわいいだなんてっ…」
次第に自分の顔が異常に熱くなるのを感じる。
「いえいえ、かわいいですよ、とても。」
とびきりの笑顔が眩しすぎて私はどうしたらいいのか分からずに再び狼狽える。
「社長が羨ましい…こんなに素敵な人と一緒にいれるなんて…」
要さんの口から出た、社長の言葉に、一瞬光瑠さんの顔が浮かんだ。
とても不安そうに怯えるあの美しい顔が…
そして、また訳の分からない気持ちで胸がいっぱいになる。
「そんなことは…」
「真希さんが来てから、社長が変わったって会社では大きな噂になってますよ。」
「えっ…」
噂…
そう言えば、酒田さんも会ったとき、噂のって言ってた…
確かに、光瑠さんは出会った頃に比べると、優しくなってて──
でもそれが私のお蔭だとは自分では思えなかった…
要さんの言葉に身体が震えるのが分かった。
どうして自分は、忘れられているとか覚えてるかもとか、そういうことにしか頭が回らなかったのだろう…
──────頑張ろうって思わせてくれるような…そういう人に出会ったから
恋人がいることを示唆するその言葉が私の心を大きくかき乱していた。
黙ったまま要さんを見つめた。
キリっとした顔立ちはとても男らしくて、黒い髪がサラサラと風になびく。
こんなにかっこよくて優しい人に恋人がいないわけがない。
そんな当たり前のことに、私は今更気付いた。
「真希さん…?」
私が言葉を返さないので要さんは眉をひそめていた。
「あっ…すみません…」
我に返って言葉を探す。
だけど適当な言葉が浮かばなくて狼狽えたまま時間だけが過ぎて行く…
「真希さんって随分かわいらしい方ですね。」
フッと笑いながら言った要さんの言葉にドキッ─と胸が鳴った。
「そっ、そんなっ、かわいいだなんてっ…」
次第に自分の顔が異常に熱くなるのを感じる。
「いえいえ、かわいいですよ、とても。」
とびきりの笑顔が眩しすぎて私はどうしたらいいのか分からずに再び狼狽える。
「社長が羨ましい…こんなに素敵な人と一緒にいれるなんて…」
要さんの口から出た、社長の言葉に、一瞬光瑠さんの顔が浮かんだ。
とても不安そうに怯えるあの美しい顔が…
そして、また訳の分からない気持ちで胸がいっぱいになる。
「そんなことは…」
「真希さんが来てから、社長が変わったって会社では大きな噂になってますよ。」
「えっ…」
噂…
そう言えば、酒田さんも会ったとき、噂のって言ってた…
確かに、光瑠さんは出会った頃に比べると、優しくなってて──
でもそれが私のお蔭だとは自分では思えなかった…