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近くて遠い
第23章 信頼関係
────────…

ケラケラ笑いながら、走り回る隼人を追い掛けながら、どうしてこんなことしてるんだ?と光瑠は不思議になっていた。



寝不足の身体に鞭打って仕事をし、やっと空いた時間で8歳児を追い掛ける自分…


訳分からんっ!



そう心で叫びながら、加減も分からず隼人を追い掛ける。


「ひかるおそいー!」



そんな隼人の発言に素でカチンとくるのだから、光瑠は真希が思った通り、中身は8歳児と変わらない。



「手加減しないでー!」



「っ!?」



バレた…8歳の小僧にっ…



「そんなもんしてるかっ!」



声を荒げ、光瑠は慌ててスピードを速めた。



チラと真希を視界に入れると、自分がかけた上着を羽織ながら、笑顔でこっちを眺めていた。



まぁ、あいつが笑ってるならいいか──



そんなことを思いながら、腕を捲って隼人を追い掛ける。


「わぁっっ!はやいっっ!」



急にスピードが上がった光瑠にビックリして隼人は一目散に逃げ惑う。



もう5分経っただろっ…



そう光瑠が思った矢先に隼人がまた躓いて前のめりに転びそうになった。



「あっ、アホ!」



光瑠はよりスピードを早めて、隼人を掴むと、庇ったはずみでそのまま自分が倒れ込んでしまった。



「いったぁっ…」


「っ…何でお前が痛がるっ!どこも打ってないだろっ!」



どこも打ってない隼人は光瑠が転んだのにつられてそういうと、ケラケラ笑い始めた。


なんだこのガキ…


大きな口を開けて屈託なく笑う隼人の姿を光瑠は茫然と眺めていた。


自分の白いスーツは見事に土がついて汚れていて、とてもこれで会社には戻れない。



「ったく…」



泥を払いながら、光瑠は隼人を眺めた。



「もう5分?」


「あぁもう5分だ。戻るぞ。」


光瑠は立ち上がって真希の座るベンチに向かおうとした。


「戻ってどうするの?」


「は?」


質問の意味が分からず光瑠は立ち止まってその小さな少年を見た。
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