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近くて遠い
第24章 究極の選択
「……ええ。眼球で受け取った外界の情報は、視神経を介して脳に運ばれます。関根さんはその視神経が破片で圧迫されているだけであって、受容器と脳には問題がないのです。」



だから何だというのか──


ごちゃごちゃと言葉を並べられ、まるでペテンにかかっているかのような感覚になる。


何かを期待させるような…含みを持たせたその言い方…。



「つまり?」


要は医者に結論を急かす。



「破片がどの範囲までの神経を圧迫しているのかこれだけでは分かりませんが…、もしかしたら手術で…」


まさか──


要はその後の言葉を期待して、下唇をギュッと噛んだ。



「視力を取り戻せるかもしれません──」




カラン─────…と音をたてて、

要の手からステッキが滑り落ちた。


「い、今なんて…」



「関根さん、落ち着いて話を最後まで聞いてください。」


医者は落ちたステッキを拾って、放心する要の手に戻した。



光が戻ったら…

そしたら…

また元の生活に…


そして、またあの少女を…


「ただし、これは簡単な手術ではありません。」



重い口調で医者が続ける。



「それでもいいっ!」


興奮も冷めぬまま、要は身を乗り出した。
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