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近くて遠い
第25章 符合
────────…
隼人が朝から『今日はかなめが来る』ってずっと言っていて、まさかと思いながら私は庭へ出た。
が、
そのまさかだった…
隼人に手を引かれて現れた要さんのなびく黒髪が太陽に反射して光って見えた。
「また…こんなお菓子…そんなお気遣いなさらないで下さい」
「隼人が喜びますからね。」
隼人がガサガサと紙袋を開ける音を聞きながら、要さんが笑っていった。
「すみません…」
否定は出来なかったのが少し恥ずかしくて、私はうつむきながらそう答えた。
「クッキーだっ」
そういいながら、小さく梱包されたクッキーの袋を隼人が天にかざした。
「本当だぁ、おいしそうだね!」
私と隼人はこの前と同じように、要さんを挟むようにして白いベンチに座っていた。
「お姉ちゃんにもあげるねー!」
「ありがとう…」
隼人が要さんの前から手を伸ばして私の手のひらにクッキーを乗せた。
「かなめにもあげる!今日来てくれたから!」
隼人はそう言って笑うと要さんの手を開いて私と同じようにクッキーをその大きな手に乗せた。
「ちょっ…隼人、あげるって、それ要さんにもらったんじゃない。」
私の言葉に要さんは大きな口を開けて笑った。
その笑い方はいつ見ても、その見た目とのギャップに驚かずにはいられないくらい豪快だ。
「ありがとう!優しいな!」
要さんは隼人にそう言うと、そのクッキーをほうばった。
「あ、良かった、おいしい。」
何かの劇を見ているかのような完璧な笑顔。
それはとても素敵な笑顔だったけど、どこかわざとらしく私には見えた。
「かなめここにいてね!」
隼人はそう叫ぶと急に庭の奥へと走り出した。
「ふっ、相変わらず元気ですね…」
少し乱暴な口調から、丁寧な口調に変わる瞬間。
やはり大きな距離を感じてしまう。
「……すみません。」
「ですから、謝ることはないですって。
僕は隼人にとても元気をもらっているんですから。」
そう言った要さんの言葉はやはり、どこか悲しみに満ちているように思えてならなかった。
隼人が朝から『今日はかなめが来る』ってずっと言っていて、まさかと思いながら私は庭へ出た。
が、
そのまさかだった…
隼人に手を引かれて現れた要さんのなびく黒髪が太陽に反射して光って見えた。
「また…こんなお菓子…そんなお気遣いなさらないで下さい」
「隼人が喜びますからね。」
隼人がガサガサと紙袋を開ける音を聞きながら、要さんが笑っていった。
「すみません…」
否定は出来なかったのが少し恥ずかしくて、私はうつむきながらそう答えた。
「クッキーだっ」
そういいながら、小さく梱包されたクッキーの袋を隼人が天にかざした。
「本当だぁ、おいしそうだね!」
私と隼人はこの前と同じように、要さんを挟むようにして白いベンチに座っていた。
「お姉ちゃんにもあげるねー!」
「ありがとう…」
隼人が要さんの前から手を伸ばして私の手のひらにクッキーを乗せた。
「かなめにもあげる!今日来てくれたから!」
隼人はそう言って笑うと要さんの手を開いて私と同じようにクッキーをその大きな手に乗せた。
「ちょっ…隼人、あげるって、それ要さんにもらったんじゃない。」
私の言葉に要さんは大きな口を開けて笑った。
その笑い方はいつ見ても、その見た目とのギャップに驚かずにはいられないくらい豪快だ。
「ありがとう!優しいな!」
要さんは隼人にそう言うと、そのクッキーをほうばった。
「あ、良かった、おいしい。」
何かの劇を見ているかのような完璧な笑顔。
それはとても素敵な笑顔だったけど、どこかわざとらしく私には見えた。
「かなめここにいてね!」
隼人はそう叫ぶと急に庭の奥へと走り出した。
「ふっ、相変わらず元気ですね…」
少し乱暴な口調から、丁寧な口調に変わる瞬間。
やはり大きな距離を感じてしまう。
「……すみません。」
「ですから、謝ることはないですって。
僕は隼人にとても元気をもらっているんですから。」
そう言った要さんの言葉はやはり、どこか悲しみに満ちているように思えてならなかった。