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近くて遠い
第25章 符合
「あぁあ!かなめだぁ!」
突然、そんな要を救うかのような、可愛らしい声が聞こえて、足を掴まれた感覚がした。
「隼人か?」
「うん!」
明るい声が、要の心に染み渡って行く。
「はい、これ。」
要は自然と顔を綻ばせながら、持っていた紙袋を渡した。
「やったっ」
小さく囁いた隼人の頭を探りながら、要は撫でた。
「……お姉さんは?」
「ん?いるよー!あそこ!」
あそこ
ここ
それ
あれ
要が一番困ってしまう言葉…
「あ……隼人、悪い、俺…目が見えないんだ。連れてってくれるか?」
無垢な少年がそれを聞いたらどんな反応をするのか、要は少し怯えていた。
「分かった!」
「えっ…」
隼人は特に何も反応することなしに、小さな手で要の手を掴んで、ゆっくりと歩き出した。
そんな些細な事が要の胸を打って、また考えさせられる。
何でもないように振る舞ってきたのは自分だったのに、何でもないように振る舞われた事に驚いている自分に小さな矛盾があるように感じた。
やっぱり自分はどこかでかわいそうだとか、そういう風に思われたいと思っていたんだろうか…?
そんなことを小さな少年の小さな仕草一つで感じてしまう。
「要さんっ…」
「ね、お姉ちゃん、やっぱり今日は来るっていったでしょー??」
ふと聞こえた真希さんの声にグッと心臓が引っ張られているような感覚になった。
「……また逃げ出しに来ました。」
何とも思っていないかのように、ひょうきんに振る舞ってみせる。
「お疲れ様です…」
ゆっくりとしっとりとした話し方…
ずっと聞きたかった…
この声を…
「お姉ちゃん、これ!」
「やだ、またいただいたの?」
「うん、開けてい?」
ガサガサと紙袋の音がする。
「いいけど…、その前にお礼は言ったの?」
「かなめありがと!!」
食い気味で発した隼人の言葉に要は笑いながら頷いた。
突然、そんな要を救うかのような、可愛らしい声が聞こえて、足を掴まれた感覚がした。
「隼人か?」
「うん!」
明るい声が、要の心に染み渡って行く。
「はい、これ。」
要は自然と顔を綻ばせながら、持っていた紙袋を渡した。
「やったっ」
小さく囁いた隼人の頭を探りながら、要は撫でた。
「……お姉さんは?」
「ん?いるよー!あそこ!」
あそこ
ここ
それ
あれ
要が一番困ってしまう言葉…
「あ……隼人、悪い、俺…目が見えないんだ。連れてってくれるか?」
無垢な少年がそれを聞いたらどんな反応をするのか、要は少し怯えていた。
「分かった!」
「えっ…」
隼人は特に何も反応することなしに、小さな手で要の手を掴んで、ゆっくりと歩き出した。
そんな些細な事が要の胸を打って、また考えさせられる。
何でもないように振る舞ってきたのは自分だったのに、何でもないように振る舞われた事に驚いている自分に小さな矛盾があるように感じた。
やっぱり自分はどこかでかわいそうだとか、そういう風に思われたいと思っていたんだろうか…?
そんなことを小さな少年の小さな仕草一つで感じてしまう。
「要さんっ…」
「ね、お姉ちゃん、やっぱり今日は来るっていったでしょー??」
ふと聞こえた真希さんの声にグッと心臓が引っ張られているような感覚になった。
「……また逃げ出しに来ました。」
何とも思っていないかのように、ひょうきんに振る舞ってみせる。
「お疲れ様です…」
ゆっくりとしっとりとした話し方…
ずっと聞きたかった…
この声を…
「お姉ちゃん、これ!」
「やだ、またいただいたの?」
「うん、開けてい?」
ガサガサと紙袋の音がする。
「いいけど…、その前にお礼は言ったの?」
「かなめありがと!!」
食い気味で発した隼人の言葉に要は笑いながら頷いた。