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第25章 符合

「きっと…無理してる人は…無理してる事に気付いてないんですね。逆を言えば、だから無理をしちゃうというか…」



やだ、なんか私、言ってることめちゃめちゃ───


と彼女は小さく言葉を加えた。



「いや、なんか、何となく、おっしゃっていることは分かります。」



自分は、やはり無理をしているのかもしれない…



要は初めて自分の弱さを真っ向から認めた。


その途端急に苦しくなって、目尻が熱くなるのを感じて、懸命に堪えた。



「要さん…」



「………」



ギュッと口を引き結んで要は真希の言葉を聞く。




「……やっぱり、今日の要さんは、少し辛そうに、私には見えます…」


「そんなことっ…」




気付いたら、要は口を震わせてまた否定の言葉を洩らそうとしていた。



また自分は言い訳を探している。


乗り越えたように見えた
見えないことの苛立ちと恐怖が、沸き上がってくる───



その時


温かい手が、要の手に触れて、要はハッとした。



「逃げ出しにいらっしゃったんでしょ…？なら、ここで強がる必要はないですよ。」



柔らかい声が耳に入ると、要はつい流れてしまった涙を真希にバレぬよう必死で拭った。