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近くて遠い
第25章 符合
────────…


「どうかしましたか…?」

要は話を終えると真希が大きく息を吸ったのを聞いて、少し心配になり尋ねた。



「そんな…」



自分の話にひどく動揺する真希を不思議に思いながらも、そのまま話し続けた。



「それ以来、彼女とは会ってないし、会えるかも分からない。本当、名前くらい聞くべきでしたよ。」



そんなことを言いながら要は切な気に笑う。



あの日、外に出なければ、事故には遭わなかった。


けれど、それと同時に彼女にも出会うこともなかった──




真希はずっと黙って何の言葉も返さない。



その沈黙が居心地が悪くて要は言葉を進める。



「それで、話を戻しますとね、その少女の声が真希さんに似ているんですよ。」


「えっ…」



ようやく声を発した真希に要は安堵する。



「あ、すみません。お気を悪くされたら…」



要は少し不思議な気持ちになっていた。


あの日の少女に自分の想いを伝えているような、そんな錯覚を起こしていたからだ。


いや、それは錯覚ではないのだが、要はそんなことにはもちろん気付かない。



「真希さん?」



黙られてしまってはどうしてよいか分からない。


やはり、そんなどこの誰だか分からない少女に似ているなどと言われて、憤りを覚えているのだろうか…?
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