この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
近くて遠い
第26章 糸の綻び
────────…

社長のパリ行きをついに明日に控えた有川商事は、いつも以上に慌ただしく動いていた。


トップの1週間の不在は大きい。


誰もがそれを乗り越えるため、ぬかりなく今できる仕事をこなしていた。


要は事故で重傷を負った執事の斎藤の見舞いを済ませ、
会社に戻るとあまりのてんてこ舞いぶりに、肩身の狭い思いをしていた。


酒田も一緒にパリに行ってしまうから、大慌てで動いている。


──────あいつの…真希の傍にいてやってくれ


光瑠の言葉がぐるぐると頭を回る。



要はおもむろに、ステッキを掴んで立ち上がった。


気になる……また泣いているのでは…



要は光瑠の言葉を盾にして会社を出た。



自分の吐く息が熱いと感じるくらい、外は寒い。

ゆっくりと確めるように有川邸に足を進めながら、要は考え事をしていた。



医者からの目の手術の提案もそのまま何も返事をしていない。

それどころか、考えることもしていなかった。


要はしばらく無理をすることを、やめようと思っていたのだ。


そしたらいくらか気持ちが楽になってきた。


それは確かに真希のお蔭なのだけれど、その本人が無理をしているのを放ってはおけなかった。


「関根様っ!?」


有川邸に着くと、会社と同じくらい慌ただしく人が動いているのを感じた。


何かあったのだろうか…


「何かご用ですか?ご主人様でしたら──」


「いや、真希さんの様子が気になって…」


早口で話していたメイドとおぼしき人物がえ…?と言葉を返した。



「いや、あの先日大分取り乱していたし…
社長から何かあったら頼むと言われているもんだから。」


少し言い訳がましく言うと、メイドはそうでしたか、と返事をして要を中へ通した。



「ご主人様とも連絡がうまく取れないようですから、関根様がいらっしゃった方が真希様もきっと…」


「……?」


メイドの言葉に焦りと悲しみが混ざったものを感じた。


おかしい。

やはり何か起こっている。

その時、要は再びただならぬ雰囲気を感じ取っていた。


/518ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ