この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
近くて遠い
第27章 出発
茶色よりも薄い光瑠の綺麗な髪が無造作に乱れる。
酔っているからなのか、あまり自身の事を話そうとしない光瑠が、真希の事を話しているのが酒田にはとても珍しく感じた。
こんなにも彼が乱れるほど強く想われている事を、彼女は知っているのだろうか…
「……帰りの飛行機、一つ早くしますか?」
酒田の提案に光瑠は目を見開いて酒田を強く見た。
「出来るのかっ…?!」
「交渉も順調ですし、元々時間に余裕を持って買っていたので…」
「頼むっ!」
切実なその瞳に、酒田は、はいと笑顔で答えた。
光瑠はスパークリングワインを飲み干し、もう一杯頼むよう酒田に言った。
ふぅ…と吐いた息が熱を帯びて眠気を誘う。
───────早く帰って来てくださいっ
叶えられぬ願いをされたと思ったが、それが叶えられそうだと分かった途端、今まで以上に日本に帰りたくなった。
傍にいてやりたい…
いや、なにより自分が真希を抱き締めたい…
パリから戻ればしばらく仕事が落ち着く。
そしたら、真希と過ごす時間も増やすことが出来る。
少し想像しただけで、光瑠の口元が綻んで、それが酒田にバレぬよう慌てて手で隠した。
酔っているからなのか、あまり自身の事を話そうとしない光瑠が、真希の事を話しているのが酒田にはとても珍しく感じた。
こんなにも彼が乱れるほど強く想われている事を、彼女は知っているのだろうか…
「……帰りの飛行機、一つ早くしますか?」
酒田の提案に光瑠は目を見開いて酒田を強く見た。
「出来るのかっ…?!」
「交渉も順調ですし、元々時間に余裕を持って買っていたので…」
「頼むっ!」
切実なその瞳に、酒田は、はいと笑顔で答えた。
光瑠はスパークリングワインを飲み干し、もう一杯頼むよう酒田に言った。
ふぅ…と吐いた息が熱を帯びて眠気を誘う。
───────早く帰って来てくださいっ
叶えられぬ願いをされたと思ったが、それが叶えられそうだと分かった途端、今まで以上に日本に帰りたくなった。
傍にいてやりたい…
いや、なにより自分が真希を抱き締めたい…
パリから戻ればしばらく仕事が落ち着く。
そしたら、真希と過ごす時間も増やすことが出来る。
少し想像しただけで、光瑠の口元が綻んで、それが酒田にバレぬよう慌てて手で隠した。