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近くて遠い
第28章 にわか雨
────────…
「弓道?」
「えぇ、弓道。弓の道、です。」
要は弓を引く真似を真希にみせた。
「すごい…」
「まぁ、今は無理ですけどね。」
そう言って要は弓を放つふりをした。
真希がその見えない矢を目で追い掛ける。
「……私には、さっぱりの世界です。」
「真希さんは?趣味とかないんですか?」
要の問いに真希がうーーんと唸ると、蝶を追い掛ける隼人を見た。
「……隼人と、過ごすこと…ですかね。」
「ふっ…それが趣味ですか?何か真希さんらしいな。」
真希の言葉に要が軽く笑った。
「でも、本当に…
私は隼人といるとき、すごく気持ちが休まるんです。」
しみじみとしながら呟いた真希の言葉を要は一語一句逃さぬよう聞いていた。
真希の母がこの世を去ってから、毎日要は真希と隼人の元に来ている。
最初は生気を失っていた真希が段々と元気になっていくのを要は感じて、ホッとしていた。
「……僕と」
「え?」
「あ、いいえ、何でもないです。」
要は言葉を言いかけてやめた。
僕といるときは、どんな気持ちですか?
なんて、聞いてどうするんだろうか…
「…毎日来て下さって、本当にありがとうございます。」
「いいえ。」
来たいだけ
会いたいだけだから。
誤魔化せない、要の心。
自分は本当に錯覚を起こしているのだろうか?
本当に、あの日の少女に声が似ているから、こんなにも胸が高鳴るのだろうか?
「……隼人も喜んでいます。」
真希の言葉がチクリと要の心を刺激する。
こんなにも胸が苦しいのは、何故だろうか?
「あなたはっ……」
要はつい語気を強めた。
「え?」
「………あなたは僕が来て…嬉しいですか…?」
言ってしまった…。
今自分が恋い焦がれているのは…一体…
「弓道?」
「えぇ、弓道。弓の道、です。」
要は弓を引く真似を真希にみせた。
「すごい…」
「まぁ、今は無理ですけどね。」
そう言って要は弓を放つふりをした。
真希がその見えない矢を目で追い掛ける。
「……私には、さっぱりの世界です。」
「真希さんは?趣味とかないんですか?」
要の問いに真希がうーーんと唸ると、蝶を追い掛ける隼人を見た。
「……隼人と、過ごすこと…ですかね。」
「ふっ…それが趣味ですか?何か真希さんらしいな。」
真希の言葉に要が軽く笑った。
「でも、本当に…
私は隼人といるとき、すごく気持ちが休まるんです。」
しみじみとしながら呟いた真希の言葉を要は一語一句逃さぬよう聞いていた。
真希の母がこの世を去ってから、毎日要は真希と隼人の元に来ている。
最初は生気を失っていた真希が段々と元気になっていくのを要は感じて、ホッとしていた。
「……僕と」
「え?」
「あ、いいえ、何でもないです。」
要は言葉を言いかけてやめた。
僕といるときは、どんな気持ちですか?
なんて、聞いてどうするんだろうか…
「…毎日来て下さって、本当にありがとうございます。」
「いいえ。」
来たいだけ
会いたいだけだから。
誤魔化せない、要の心。
自分は本当に錯覚を起こしているのだろうか?
本当に、あの日の少女に声が似ているから、こんなにも胸が高鳴るのだろうか?
「……隼人も喜んでいます。」
真希の言葉がチクリと要の心を刺激する。
こんなにも胸が苦しいのは、何故だろうか?
「あなたはっ……」
要はつい語気を強めた。
「え?」
「………あなたは僕が来て…嬉しいですか…?」
言ってしまった…。
今自分が恋い焦がれているのは…一体…