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近くて遠い
第28章 にわか雨
────────…
「要さん…?」
語気を強めて手を掴んできた要さんに、私の心臓がドキッ──と鳴った。
「真希さん…」
輝く瞳に吸い込まれそうになって、身動きが取れない。
「っ…もっ…もちろん…私も…」
しどろもどろにやっと答えても、要さんは私の手を掴んだまま離さない。
「本当に…?」
何故そんな甘い声で囁くのだろう…
どうするのが正しいのか分からなくなって道を踏み外しそうになる。
「えっ…ええ…」
要さんは私の答えを聞くと、握っていた私の手に優しく口付けをした。
まるで恋人にするようなその仕草に胸が熱くなる。
「真希さん…」
クラクラする。
近付く要さんの男らしく整った顔を私はただ黙って眺めている。
あぁ──
このまま私は──
その時、ポツリと私の頬に冷たいものが落ちた。
「要さん…っ」
それにハッとして、要さんの胸を軽く押した。
「っ……すみません…」
同じように我に返ったような顔をした要さんは片手で自身の顔を覆った。
ドキドキと鳴り止まない胸の鼓動を感じながら、私は顔を覆っている要さんを切なく見つめていた。
また一粒、頬に冷たいものが落ちると、一気にそれはパラパラ降ってきた。
「お姉ちゃん、雨ーー!」
そう言いながら、隼人が走ってきた。
弱い雨は、次第に激しさを増す。
「隼人おいでっ!」
そう脇で隼人を呼ぶ要さんの声。
雨が私を打つ。
何だか心地よかった。
パリは今
どんな空が広がっているんだろうか……
私はゆっくりベンチから立ち上がって天を仰いだ。
「要さん…?」
語気を強めて手を掴んできた要さんに、私の心臓がドキッ──と鳴った。
「真希さん…」
輝く瞳に吸い込まれそうになって、身動きが取れない。
「っ…もっ…もちろん…私も…」
しどろもどろにやっと答えても、要さんは私の手を掴んだまま離さない。
「本当に…?」
何故そんな甘い声で囁くのだろう…
どうするのが正しいのか分からなくなって道を踏み外しそうになる。
「えっ…ええ…」
要さんは私の答えを聞くと、握っていた私の手に優しく口付けをした。
まるで恋人にするようなその仕草に胸が熱くなる。
「真希さん…」
クラクラする。
近付く要さんの男らしく整った顔を私はただ黙って眺めている。
あぁ──
このまま私は──
その時、ポツリと私の頬に冷たいものが落ちた。
「要さん…っ」
それにハッとして、要さんの胸を軽く押した。
「っ……すみません…」
同じように我に返ったような顔をした要さんは片手で自身の顔を覆った。
ドキドキと鳴り止まない胸の鼓動を感じながら、私は顔を覆っている要さんを切なく見つめていた。
また一粒、頬に冷たいものが落ちると、一気にそれはパラパラ降ってきた。
「お姉ちゃん、雨ーー!」
そう言いながら、隼人が走ってきた。
弱い雨は、次第に激しさを増す。
「隼人おいでっ!」
そう脇で隼人を呼ぶ要さんの声。
雨が私を打つ。
何だか心地よかった。
パリは今
どんな空が広がっているんだろうか……
私はゆっくりベンチから立ち上がって天を仰いだ。