この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
近くて遠い
第28章 にわか雨
真希がそう言った時、
真希の言葉以外の音が
この世から消え去ったように要は感じた。
「今…なんて……」
この言葉を聞くのは二度目だ…
初めて聞いたとき、
不思議な事を言うもんだと、
そんな彼女をもっと…
もっと知りたいと…
そう思ったのを要は思い出す──
「お姉ちゃんっ!」
ふと、隼人が要の身体から抜け出して、真希の手を掴んだ。
ハッとした真希は目を見開いて、隼人を見る。
「す、すみません…中に入りましょうかっ…」
そう言って彼女に導かれるまま要は有川邸に入った。