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近くて遠い
第28章 にわか雨


真希がそう言った時、



真希の言葉以外の音が



この世から消え去ったように要は感じた。




「今…なんて……」




この言葉を聞くのは二度目だ…


初めて聞いたとき、

不思議な事を言うもんだと、

そんな彼女をもっと…

もっと知りたいと…


そう思ったのを要は思い出す──



「お姉ちゃんっ!」


ふと、隼人が要の身体から抜け出して、真希の手を掴んだ。


ハッとした真希は目を見開いて、隼人を見る。



「す、すみません…中に入りましょうかっ…」


そう言って彼女に導かれるまま要は有川邸に入った。
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