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近くて遠い
第28章 にわか雨
────────…

要は真希の部屋で、メイドに渡されたタオルで身体を吹きながら、考え事をしていた。



先ほど雨の中で真希が放った言葉が気になって仕方がない。


あれは偶然だろうか?


声がよく似ているのも何もかも本当に…?


ギィ────…と扉の開く音がして要は顔をあげた。



「本当にすみませんでした。今隼人はシャワーを浴びてますけど、要さんは……どうします?」



「……いえ、着替えもないですし、お気遣いなく。」



特にいつもと変わらない真希の声に、要は少し詰まって答えた。




そうですか、と呟いた真希はスタスタと窓まで歩いて雨の様子を確かめた。



「あ、止みそうですね。」


あどけなくそう言った真希の脇で一人要はじっと考えていた。


聞かずにはいられない…


そう思った要は真希の名を呼んでゆっくり近付いた。




「はい?」


柔らかい声音。


もし真希があの日の少女だったら──




「あなたは、以前、僕とお会いしたことがありませんか…?」



「えっ…?」




今さらとも言える変な質問を要は真希に投げ掛けた。




「今日みたいに…雨が降っていた日…」



手を伸ばして要は真希を探す。
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