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近くて遠い
第29章 虚構の愛、真実の愛
「古畑さんっ!!」
「真希様っ!?どうかされましたかっ?」
ようやく見付けた古畑さんに私は勢いよくすがりついた。
「このっ…このっ…人は……誰ですかっ…!」
息が上がったまま、私は握り締めていた写真を古畑さんに押し付けるようにして渡した。
「落ち着いてくださいっ!どうされましたかっ…」
「これはっ……この人は誰っ……」
古畑さんは私の状態に目を丸くしながら、私が渡した写真を見つめた。
「これをどこで…」
古畑さんはその写真を見つめると、大きく目を見開きながら、呟いた。
「真希様っ!」
追い付いた愛花ちゃんが私の隣に来て顔を覗く。
「答えてくださいっ!」
私が声を荒げると、古畑さんは顔を歪めて横を向いた。
「っ…古畑さんっ!!」
叫ぶ私の隣で愛花ちゃんも古畑さんの言葉を待っていた。
「っ……彼女は……
光瑠様のっ……
以前の婚約者です……」
あぁ…───
その言葉に、
築いてきたものが、
バラバラと音を立てて崩れていった。
「こん…やくしゃ……」
「どういうことですかっ」
同じ言葉を返すことしか出来ない私に代わって愛花ちゃんが古畑さんに声を掛ける。
古畑さんはギュッと口を引き結び、しばらく黙ったあとゆっくりと口を開いた。
「彼女は…光瑠様の幼なじみであられた方で…」
"以前"の婚約者…
幼なじみで"あられた"…
その表現を私は聞き逃さなかった。
「3年前、急性白血球病を患われて…」
あぁ、
やっぱり…
私の思った通りだ──
「亡くなられました……」
「真希様っ!?どうかされましたかっ?」
ようやく見付けた古畑さんに私は勢いよくすがりついた。
「このっ…このっ…人は……誰ですかっ…!」
息が上がったまま、私は握り締めていた写真を古畑さんに押し付けるようにして渡した。
「落ち着いてくださいっ!どうされましたかっ…」
「これはっ……この人は誰っ……」
古畑さんは私の状態に目を丸くしながら、私が渡した写真を見つめた。
「これをどこで…」
古畑さんはその写真を見つめると、大きく目を見開きながら、呟いた。
「真希様っ!」
追い付いた愛花ちゃんが私の隣に来て顔を覗く。
「答えてくださいっ!」
私が声を荒げると、古畑さんは顔を歪めて横を向いた。
「っ…古畑さんっ!!」
叫ぶ私の隣で愛花ちゃんも古畑さんの言葉を待っていた。
「っ……彼女は……
光瑠様のっ……
以前の婚約者です……」
あぁ…───
その言葉に、
築いてきたものが、
バラバラと音を立てて崩れていった。
「こん…やくしゃ……」
「どういうことですかっ」
同じ言葉を返すことしか出来ない私に代わって愛花ちゃんが古畑さんに声を掛ける。
古畑さんはギュッと口を引き結び、しばらく黙ったあとゆっくりと口を開いた。
「彼女は…光瑠様の幼なじみであられた方で…」
"以前"の婚約者…
幼なじみで"あられた"…
その表現を私は聞き逃さなかった。
「3年前、急性白血球病を患われて…」
あぁ、
やっぱり…
私の思った通りだ──
「亡くなられました……」