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近くて遠い
第34章 Sweet Night
────────…

少し強めのカクテルを頼んだせいもあってか、要は身体に熱を感じながら、艶かしく真希を見つめていた。



ずっと見ていたい



見えていなかった分


ずっと──



そんなことを思いながら、要さんは穴が開くほど真希を見つめる。



「……命を掛けた甲斐がありました。」



無事に視力を回復する可能性は半分だと言われた時のこと




死ぬかもとまで言われて、迷ったあの日々のこと…



今となっては全てが懐かしく要は感じていた。



「命を掛けたって…どういうことですかっ…?」



要の言葉に真希が反応して身体を要の方に向けた。


シャラっ──と真希のかんざしについたビーズが音を立てる。


「……眼の手術です。死ぬ可能性もあると言われた手術だったので。」



「えっ…⁉︎」



声を上げた真希の顔が少しずつ歪む。



「何でそんな危険な手術をっ…」



真希の小さな手が要の腕を掴む。



要はその白い手をしっとりと眺めた。




「決まってるでしょ?」




視線を手から腕に……


そして肩、首筋、唇、頬…


瞳へと移していく。




「あなたを守るためですよ…」




要の言葉に真希は目を見開いた。


「そんなっ…私のためって…!」



「僕のせいであなたが怪我をしたから…」



要は大きな手で私の頬を包み込むようにして触れた。



「……っ…だからって!死んでしまったらっ…死んでしまったらどうするつもりだったんですかっ…!」



みるみるうちに、真希の大きな瞳に涙が溜まっていく。



全くその通りだ──



自分でも驚くほど無謀な決断だった。



死んでしまったら、真希を一人にしてしまっていた。



だけど──




「死んでないでしょ…?」


今自分はここにいる。


愛しい人と共に。


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