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近くて遠い
第41章 けじめ
「ただいま、」


「真希っ!!!」


扉を開けた瞬間、ギュッ抱き締められて、私はビックリした。


しばらく状況を把握するのに時間が掛かり、私は目をパチパチさせた。



「さっき、警察から電話があってっ…!心配で心配でっ…」


「お父さん……」



お父さんはガタガタと震えながら私をぎゅうぎゅうと抱き締めた。



「……大丈夫だよ、心配掛けてごめんね…?」


私がそう言うと、お父さんは私から身体を離し、後ろにいた光瑠さんに気付いて目を見開いた。



「そちらの方は…?」



「あっ…えっと…、彼は──」



「有川光瑠と申します。」




光瑠さんは私の言葉を遮ると、丁寧に言葉を発して頭を下げた。


「有川って…」


光瑠さんを見ながら、お父さんが呟いた。




「ひかるだー!!」



急に奥から隼人がやってきて、頭を下げている光瑠さんの足に抱き付いた。



「っ……、隼人……」



「久しぶりだね!」



「こら、隼人。すみません…あの…どうぞ中に…散らかってるけど…」



お父さんは光瑠さんに貼り付く隼人を抱えると、少し戸惑ったようにして、光瑠さんを中に誘導した。



失礼します──と今までに見たことがないくらい丁寧な光瑠さんの態度に、私はドキドキしていた。




うちに、光瑠さんがいる…


それだけでも不思議な感じがするのに、テーブルにお父さんと向き合って座って真剣な顔をしている。



「あの…」


沈黙を破ったのはお父さんだった。



「今日は…謝罪をしに参りました。」



きっぱりと言い切った光瑠さんを私は隣に座りながら、目を丸くして見ていた。


「謝罪?」


同じようにお父さんも驚いたようにして、首を傾げた。



「はい」



光瑠さんはそう返事をして、ゆっくりと口を開いた。

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